英語で説明する【漫才とM-1グランプリ】

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漫才とは、古来の伝統芸能である「萬歳」をもとに、関西地方を中心に発展したといわれている寄席演芸のひとつです。
現代では基本的に2人1組で演じ、片方は「ボケ」という、おかしなことやとぼけたことを言う役で、もう片方は「ツッコミ」という、間違いを指摘する役となって、2人の滑稽なやりとりや掛け合いの妙で観客を笑わせるという、伝統のある話芸です。

しかしこれは、あくまでもその形式が多いというだけであって、両方がボケになったり、ボケとツッコミが入れ替わったり、3人以上で演じたりと、芸人さんによって様々な個性があります。

今回は、日本のお笑い文化を象徴するもののひとつである「漫才」や「M-1グランプリ」を英語で説明する表現をご紹介していきます。

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目次

漫才の歴史と由来

(萬歳を披露する2人組/Wikipedia)

漫才のもととなった「万歳/萬歳(旧字体)」の歴史や由来については諸説ありますが、奈良時代の「踏歌(とうか)」という、宮中において春を寿ぐ(ことほぐ:お祝いの言葉を述べる)行事の歌舞に始まったといわれています。

日本の古典音楽のひとつである雅楽には、君主の長久を祝うおめでたい曲のひとつに「萬歳楽」があり、ここから「萬歳」といわれるようになったという説や、新年に舞人たちが歳神に扮して、自らを依代として祝福の言葉を述べ、豊年の秋を千回万回と迎えられるように長寿を祝う「千秋萬歳(せんしゅうばんぜい)」という言葉が語源だとする説などがあります。

「千秋萬歳」はもともと古代中国で皇帝のみに使われていた言葉で、それが日本に伝わり、平安時代末期以降、貴族の間では毎年のお正月の恒例でしたが、武士が台頭してきた鎌倉時代以降は、風折烏帽子に素襖(すおう)姿で扇を持った「太夫」が、大黒頭巾に裁着袴(たっつけばかま)姿の「才蔵」の鼓に合わせて舞を見せるという門付芸能(人家の門口で芸を披露し金品を受け取る芸能)へと変遷していきました。

江戸時代になりますと、全国各地でその地名を冠した尾張万歳三河万歳大和万歳などが興って人気となり、次第に歌舞だけでなく機知に富んだ言葉のやりとりや謎かけなどが加わったことで、より滑稽さが増して発展していきます。

「漫才」という字は、大正末期の演芸「漫談」にちなみ、昭和8年に吉本興業宣伝部によって名づけられたそうで、漫才は大きく分けて「しゃべくり漫才」と「コント漫才」があり、関西地方の漫才は「上方漫才」と呼ばれています。

ちなみに「ボケ」と「ツッコミ」のスタイルの話芸はアメリカやドイツなどでも見られ、コメディの基本ともされています。

Manzai, or comic dialogue, is a kind of talk show performed usually by a comedy duo that has been uniquely developed in the Kansai region of Japan based on a traditional form of performance observed on New Year’s Day from a long time ago.
(漫才とは、主として2人のお笑いコンビが滑稽なやりとりを演じるトークショーの一種で、古くから元旦に行われていた伝統的な演芸をもとに、日本の関西地方で独自に発展したものです。)

“Manzai,” a form of traditional Japanese double-act or stand-up comedy, originated from the celebratory dialogues and kabu (歌舞) by two characters called Tayu (太夫) and Saizo (才蔵) who went from door to door at New Year’s.
(日本の伝統的なお笑いのひとつである「漫才」は、「太夫」と「才蔵」の2人がお正月に各家を回っておめでたい言葉と歌舞で祝う演芸がもとになっています。)

In the Edo period, manzai named after its originating location, such as Owari Manzai, Mikawa Manzai or Yamato Manzai became popular in many parts of the country, and developed into something much funnier by adding witty jokes and riddles to the performance.
(江戸時代になると、尾張漫才、三河漫才、大和漫才などの発祥の地を冠した漫才が全国各地で人気を博し、機知に富んだジョークやなぞなぞを加えることで、より滑稽なものに発展していきました。)

漫才の簡単な説明

漫才は英語で comic dialogue と訳されることが多いですが、他にも以下のような言い方があります。

「2人のコメディアンによるやりとり」

・comedy double act
・comic dialogue by two comedians
・Japanese stand(-)up comedy between two performers
・a comedy dialogue between two people
・a kind of comedy performed by a duo

stand(-)up comedy とは、アメリカなどで「立って演じる一人話芸(喜劇)」を指します。

stand(-)up comedy with a straight man and a funny man
ツッコミ役とボケ役で立って演じる話芸)

a style of traditional Japanese double-act comedy
(2人で演じる日本の伝統的な喜劇のひとつ)

stand-up comedy dialogue usually performed by two comedians
主に2人のコメディアンが立って演じる滑稽なやりとり)

POINT

必ずしも2人とは限らないので、「普通は」「たいていは」を意味する usually や generally、「基本的には」を意味する basically などを使うと良いでしょう。

“Owarai” is a general term used to describe Japanese comedy.
(「お笑い」とは、日本のコメディを表す一般的な用語です。)

Manzai seen in the Kansai area is often called “Kamigata manzai.”
(関西地方の漫才はよく「上方漫才」と呼ばれます。)

Manzai is a traditional kind of Japanese comedy performed by a comedy duo.
(漫才とは、2人のコメディアンで演じる日本の伝統的な喜劇の一種です。)

Manzai is a form of stand-up comedy dialogue in Japan, which usually involves two performers, “boke” (a funny man) and “tsukkomi” (a straight man).
(漫才とは日本の話芸のひとつで、通常ボケとツッコミの2人で行います。)

Manzai is usually performed by two persons between “boke” (a funny man) and “tsukkomi” (a straight man).
(漫才は、通常ボケとツッコミの2人で行います。)

Manzai generally consists of a two-person dialogue between “boke” (a funny man) and “tsukkomi” (a straight man).
(漫才はたいていの場合、ボケとツッコミの2人のやりとりで構成されています。)

Typically, their roles in a dialogue are divided into boke (a funny man) and tsukkomi (a straight man).
(一般的に、彼らのやりとりはボケとツッコミに分かれます。)

While boke says funny things or makes errors, tsukkomi corrects them.
(ボケがおかしなことをを言ったり間違えたりする一方で、ツッコミはそれを正します。)

Boke and tsukkomi draw laughter from the audience through/with their comic dialogue.
(ボケとツッコミが滑稽なやりとりで観客の笑いを誘います。)

Manzai comedians chat and trade jokes at a good tempo, often with a Kansai accent.
(漫才師たちは、多くの場合関西弁を使ってテンポ良く話したり冗談を言い合います。)

They entertain the audience with the skillfulness of their humorous and fantastic exchanges.
(彼らはユーモアあふれる巧みな掛け合いで観客を楽しませます。)

Generally, manzai comedians don’t use props, and so they need talk skills.
(通常、漫才では小道具を使わないため、会話のスキルを必要とします。)

Sometimes, with the power of laughter, owarai comedians break the mold or express people’s unspoken thoughts.
(芸人さんは、笑いの力で常識を覆したり、人々の気持ちを代弁することもあります。)

Now, many popular entertainers who used to be manzai comedians make appearances on TV programs.
(現在、漫才出身の多くの人気タレントがテレビで活躍しています。)

Some owarai comedians sell themselves through their wide knowledge or their looks.
(博識やルックスが売りの芸人さんもいます。)

These days, it is not unusual to see comedians who have made their mark in the owarai world get into other fields, such as literature, movies, and politics.
(最近では、お笑いの世界で活躍した芸人さんが、文学、映画、政界などに進出することも珍しくありません。)

お笑いの説明に使える単語

お笑い(喜劇)(Japanese) comedy
笑い、笑い声laugher
やりとり、掛け合いdialogue または exchange など
ボケa funny man
ツッコミa straight man
オチpunchline
笑いのツボsense of humor
お笑い芸人comedian
お笑いコンビcomedy duo
漫才師manzai comedians/artists(2人以上で行うので複数形にしています)
観客audience
名を上げるmake one’s mark
スタンドマイクstanding microphone

「笑う」の表現いろいろ

「笑う」は、皆さんご存知のように laugh ですが、「爆笑する」は英語で burst out laughinglaugh one’s head offburst into a roar of laughter などと言います。

I laughed so much my stomach hurt.
(私はお腹が痛くなるほど笑いました。)

I laughed so hard that coffee came out of my nose.
笑いすぎて鼻からコーヒーが出ました。)

When I heard the story, I laughed my head off.
(その話を聞いて、私は大笑いしました。)

The audience burst into a roar of laughter at his remark.
(観客は彼の言葉で大笑いしました。)

Everyone in the audience burst into simultaneous laughter.
(観客全員が一斉に大爆笑しました。)

His joke made the audience burst into laughter.
彼の冗談で観客は大笑いしました。)

The kids burst out laughing when the comedian fell (down) on stage.
(コメディアンがステージで転んだとき、子供たちは大笑いしました。)

芸人さんを紹介する

どんな芸人さんなのかを紹介するときに使える英語表現です。

●● is a Japanese comedy duo consisting of A and B.
(●●は、AさんとBさんから成るお笑いコンビです。)

They made the final at the M-1 Grand Prix in 20XX.
(彼らは20XX年のM-1ファイナリストです。)

The duo won first place at the M-1 Grand Prix in 20XX.
(このコンビは20XX年のM-1グランプリで優勝しました。)

They are employed by Yoshimoto Kogyo, and are mainly active in Tokyo.
(彼らは吉本興業所属で、主に東京で活動しています。)

He is well known for using metaphors and analogies in his tsukkomi.
(彼は「例えツッコミ」でよく知られています。)

In Yoshimoto Kogyo’s annual “Most Handsome Yoshimoto Kogyo Entertainer” awards, he won first place three years in a row.
(彼は「よしもと男前ランキング」で3年連続で1位に輝きました。)

「なんでやねん」を英語で言うと?

関西弁のツッコミを英語に訳すのは大変難しく、仮に英語として間違いではなくても、理解してもらえるかどうかは笑いのツボや文化的背景に依存しますので、その点を踏まえて「なんでやねん」「どないやねん」に最も近いと思われる英語表現をご紹介します。

  • No way!
  • Come on!
  • Why!
  • I don’t think so!
  • What are you saying?

状況にもよりますが、「なんでやねん → なんでそうなるんだよ → そんなわけないだろう」と意訳していきますと、No way!Come on! などになってくるかと思います。

また、「なんでやねん」を「何言ってるんだよ」と解釈しますと、What are you saying? とも訳せます。

他にも、近そうなものを挙げてみます。

何してんねんWhat are you doing?
アホちゃうかYou idiot?
アホくさThat’s nonsense!
何やそれWhat’s the point!
しばいたろかI’ll kick your ass!
どうでもええわWho cares!
もうええわ(漫才を終えるとき)That’s enough!

M-1 グランプリ

M-1グランプリとは、日本のお笑い界最大の祭典、そして最高の権威とされ、年末に行われる「漫才日本一」を決める大会です。

「2人以上」で「コンビ結成15年以内」であれば誰でもエントリーすることができ、毎年数千組の中から決勝戦に進出できるのはわずか10組(敗者復活組を含む)です。

決勝戦においては、審査員が一人100点満点で採点をし、最も点数の高かった上位3組が、最終決戦で2本目の漫才を披露します。

そして審査員が、3組の中で最も面白いと思った漫才師に投票し、優勝者が決定します。

In Japan, there is an annual competition called “the M-1 Grand Prix” to decide the best manzai comedians.
(日本には、「M-1グランプリ」という最も優れた漫才師を決める、年に一度のコンテストがあります。)

The M-1 Grand Prix is known as the gateway to success for young comedians.
(M-1グランプリは、若手芸人の登竜門として知られています。)

Only the top 9 units that beat out thousands of competitors in the nationwide preliminary rounds plus an additional second-chance winner can advance to the final that is broadcast live on TV.
(全国の予選において、他の数千組を勝ち抜いた上位9組と敗者復活戦の勝者だけが、テレビで生放送される決勝戦に進出できます。)

They are chosen purely for the quality of their manzai regardless of name recognition.
(知名度に関係なく、純粋に漫才の質で選ばれます。)

The judges of the final are influential figures in the Japanese comedy (field).
(決勝の審査員は、日本のお笑い界に影響力のある人たちです。)

The contestants are scored out of 100 by each of the judges.
(出場者は審査員一人ずつから100点満点で採点されます。)

After all finalists have performed and points are given, the top 3 teams proceed to the grand final to perform a second time.
(ファイナリスト全組が漫才を披露し採点が終わったあと、上位3組が最終決戦に駒を進め、2本目を行います。)

The judges cast a final vote to determine the winner.
(審査員の最終的な投票により、優勝者が決定します。)

The champion will receive 10 million yen as a prize and a promised future in the entertainment business.
(M-1チャンピオンには賞金として1,000万円が贈られ、スターの地位が約束されます。)

POINT

登竜門は、gateway to success や route to success などと表現します。

最後に

いかがでしたでしょうか。
人によって笑いのツボや好みは異なるものですが、海外のお友達に日本の漫才を英語で説明する機会がありましたら、今回ご紹介したフレーズがご参考になれば幸いです。


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