【doch の使い方】ドイツ語トレーニング

ドイツ語のdochの説明

ドイツ語学習者が避けては通れない謎の言葉、「doch」。

doch は、ドイツ語の bloßeinfachschonmaljawohlnurebendenn などに代表される「心態詞」と呼ばれる言葉のひとつで、話者の心情を生き生きと表現する「スパイス」として頻繁に使われています。

日本語では「だが」「いや」「しかし」などの訳語があてられているものの、日本語には無い働きをすることも多く、難しいというイメージがつきまとっています。
ドイツ語の会話の中では、微妙なニュアンスを表現できる言葉として幅広く使われていますので、理屈で考えないほうが混乱を避けられるかも知れません。

今回は、doch の使い方を例文とともにご紹介していきますので、是非マスターしていただければと思います。

ご興味のある方は、当サイトで ドイツ語クイズ を出題しておりますので是非ご覧ください。

目次

疑問文に対しての返答

まず doch の1つ目の用法は、質問に対しての返答です。

質問に否定の言葉(kein または nicht)が含まれ、なおかつ自分が肯定の返答をするときに doch を使います。

「疑問文に否定が含まれない」場合

Ja(はい)または Nein(いいえ)で答えます。

Trinkst du Wein?(君はワインを飲む?)

Ja, ich trinke Wein.(はい、飲みます。)
Nein, ich trinke keinen Wein.(いいえ、飲みません。)

「疑問文に否定が含まれる」場合

Doch(いいえ)または Nein(はい)で答えます。

Trinkst du keinen Wein?(君はワインを飲まないの?)

Doch, ich trinke Wein.(いいえ、飲みます。)
Nein, ich trinke keinen Wein.(はい、飲みません。)

Kommst du nicht mit?(一緒に行かないよね?)

Doch, ich gehe mit dir.(いや、行くよ。)
Nein, ich gehe nicht.(うん、行かない。)

POINT

自分の返答に否定が含まれる場合は、相手の質問が何であっても否定で答えるところは英語と同じですが、質問に対して「いえいえ、違います」と否定するときには Doch を使う、と覚えておきましょう。

確認の表現

叙述文の形の決定疑問文(「はい」または「いいえ」で答える疑問文のこと)で、肯定の答えを期待する確認の表現です。

nichtkein を使うと、否定の答えを期待します。

Du kommst doch mit?
(一緒に行くよね?)

Du hast doch einen Hund, oder?
(君は犬を飼ってたよね?)

Sie kommen doch wieder?
(またいらっしゃいますよね?)

Du hast doch meine neue Telefonnummer?
(君は私の新しい電話番号を知っているよね?)

Wo arbeitest du doch?
(あなたはどこで働いているんだっけ)

Wie war doch Ihr Name?
(お名前はなんとおっしゃいましたっけ?)

Sie ist doch nicht etwa krank?
(彼女は病気なんかじゃないよね?)

Du hast doch wohl keine Angst?
(まさか怯えてるんじゃないだろうな?)

関連記事:【kein と nicht の違い】ドイツ語トレーニング

願望の表現

主に 命令文 または 接続法2式 を用いて、強い希望を表します。

命令文

命令文に doch を用いると、より切実な表現が可能になります。

Komm doch schnell zum Essen!
(早く食事にいらっしゃい。)

Besuch uns doch einmal.
(是非一度、私共のところにいらしてくださいね。)

Probieren Sie doch mal diesen Frankenwein.
(是非こちらのフランケンワインをご賞味ください。)

Komm doch endlich!
(いい加減に来てくれよ。)

Lass mich doch in Ruhe!
(私に構わないでって言ってるでしょ!)

Zieh doch deinen Mantel an.
(コートを着なさい。)

関連記事:【anziehen】ドイツ語の分離動詞を攻略する

POINT

・probieren:試す、味見する
・jdn. in Ruhe lassen:放っておく、そのままにしておく
・anziehen:着る、身に付ける

接続法2式

接続法2式の場合、実際の状況との違いに対するもどかしさや悔しさ、 「この部分がこうでなければもっと違った結果になっていたのに」という残念がる気持ちや、「せめて〜していれば」「せめて〜であったら」という感情を表現できます。

Wenn ich doch nur so wie sie sein könnte.
(彼女のようになれたらいいのになぁ。)

Wenn sie mich doch bloß heiraten würde.
(彼女が俺と結婚してくれたらなぁ。)

関連記事:【接続法2式を徹底攻略】ドイツ語トレーニング

POINT

bloß:【形容詞】①(身体の部分・刃物・地面などが) むき出しの ②ただの、単なる /【副詞】単に、ただ. . . だけ /【心態詞】(命令文) さあ、さっさと、(感嘆文で) いったい、なんて. . . なんだ、(願望文で) 〜だったらなぁ

それにもかかわらず(副詞の用法)

「それにもかかわらず」「それにしてもやはり」「やっぱり」を意味する使い方です。

Er brachte mir einen Kaffee, wo ich doch einen Tee bestellt hatte.
(私は紅茶を注文しましたが、彼はコーヒーを持ってきました。)

Dem Kranken was es zwar verboten worden, aber er kann doch nicht das Rauchen aufhören.
(その患者は、禁止されたにもかかわらずタバコをやめられない。)

Diese Krankheit ist schlimm, aber doch nicht unheilbar.
(この病気は危険ではあるが、不治のものではない。)

Würzburg ist doch eine schöne Stadt, obwohl es bewölkt ist.
(曇ってはいるけれど、ヴュルツブルクの街は美しい。)

Man kann es kaum glauben, und doch ist es so.
(ほとんど信じられないだろうが、本当にそうなのだ。)

Gehen Sie doch lieber zum Arzt und lassen Sie sich etwas aufschreiben.
(やっぱりお医者さんに行って処方箋を書いてもらったほうがいいですよ。)

Das scheint mir denn doch nicht wahr.
(私にはやはりそれが真実とは思えない。)

Do hast es also doch getan.
(やっぱり君がやったんだな。→ also を伴う)

Jetzt fängt es doch an zu regnen.
(やっぱり雨が降ってきた。)

関連記事:【anfangen】ドイツ語の分離動詞を攻略する

POINT

・aufschreiben:書き留める、駐禁切符を切る、(口語)処方箋を書く

だが、しかし(接続詞の用法)

並列接続詞の用法で、先行する文と相反する文を導きます。副詞の用法と意味は同じですが、あとに続く文の主語と定動詞の語順は変わりません。

Ich kenne ihn, doch er kennt mich nicht.
(私は彼を知っているが、彼は私を知らない。)

Wir warteten lange, doch sie kam nicht.
(私たちは長いこと待ったが、彼女は来なかった。)

関連記事:【並列接続詞と語順】ドイツ語トレーニング

話者の気持ち

「〜したじゃないか」「〜なんだよ」「〜なのに」など、反論や憤慨、驚嘆の気持ちや、「〜だったかな」のような、記憶をたどる独り言を表す用法です。

反論や憤慨、驚嘆の気持ち

Um wie viel Uhr kommst du? – Ich habe es doch erst gesagt.
(何時に来る?- 今言ったばかりだけど。)

Das ist doch wahr.
(本当なんだよ。)

Das habe ich dir doch schon gesagt.
(それは僕が言ったんじゃないか。)

Das habe ich doch schon mehrfach erklärt!
(何度も説明したはずだ!)

Heute ist doch Sonntag.
(今日は日曜日じゃないか。)

Er muss doch meine E-Mail schon bekommen haben.
(彼は私のメールを受け取っているはずなのに。)

Ich habe es vorhin doch schon mal gesucht.
(さっき探したばかりなのに。)

Das ist doch nicht dein Ernst!
(冗談だろう!→ まさか本気じゃないだろう)

So was können Sie doch nicht machen!
(そんなことされたら困るじゃありませんか!)

So schnell kann sie doch gar nicht sein!
(彼女がこんなに早く着くわけないでしょう。)

Was ist das doch für ein Aufreißer!
(何て女たらしな奴なんだ!)

So viel auf einmal kann doch kein Mensch behalten!
(一度にあんなにたくさんのこと覚えられないよ!)

Du fährst viel zu schnell. Wir fahren doch nicht auf der Autobahn.
(スピードの出し過ぎよ。高速を走ってるんじゃないんだから。)

Dass du doch deinen Führerschein nicht mitgenommen hast.
(君が免許証を持って来ていないとは。)

Warum reagierst du immer so positiv auf die Chef? – Seine Vorschläge sind doch meist einleuchtend.
(どうしてボスにはいつもそんなに肯定的なの? – たいてい彼の提案は納得のいくものじゃないか。)

Das klappt bestimmt. Du hast doch bisher alle deine angestrebten Ziele erreicht.
(きっとうまく行くよ。今まで君は目標を全て達成してきたじゃないか。)

Es ist zwar bedauerlich, dass du den Preis nicht bekommen hast, aber darum brauchst du doch nicht zu weinen.
(君が賞をもらえなかったのは残念だが、だからと言って泣くことはないよ。)

Soll ich die Kartoffeln kochen oder braten? – Du weißt doch, ich esse lieber Bratkartoffeln.
(じゃがいもは茹でる? それとも炒める? – 僕がジャーマンポテトを好きなのは知ってるだろう。)

関連記事:【所有冠詞と格変化】ドイツ語トレーニング

POINT

・auf einmal:一度に、同時に
・etw. behalten:覚えている、記憶している
・auf etw. reagieren:反応する、応じる
・einleuchtend:(話・議論などが) もっともらしい、明らかな
・klappen:①軽く叩く、(補語なしで) パタパタ・コツコツと音を立てる ②(口語で)うまくいく、成功する
・bisher:今のところ、現在、今まで
・anstreben:手に入れようと努める、目指して努力する
・das Ziel:目的地、ゴール、目標、(射撃の) 的
・etw. erreichen:〜に届く、到達する、間に合う、連絡がつく
・bedauerlich:気の毒な、残念な

記憶をたどる

思い出そうとして、自問の補足疑問文で「〜だったかなぁ」という表現で用いられます。

Diesen Geschmack kenne ich doch.
(何だか懐かしい味がするなぁ。)

Den kenne ich doch.
(どこかで見た顔だな。)

Was wollte ich doch kaufen?
(何を買うんだったっけ。)

Irgendwo war doch noch etwas Schokolade.
(どこかにチョコレートがあったはずだ。)

Wie hieß doch gleich das Hotel, in dem wir damals übernachtet haben?
(私たちがあのとき泊まったホテルは何て名前だっけ?)

Der Zug wird doch wohl nicht gleich kommen.
(電車はすぐには来ないかもしれない。doch wohl はやや自信のない推量)

関連記事:【wissen・kennen・verstehen の違い】ドイツ語トレーニング

POINT

・kennen:(自身の体験により)知っている
・damals:当時、その時、その頃
・übernachten:泊まる、宿泊する

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