【命令文・要求文】ドイツ語トレーニング

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ドイツ語で「〜して!」「〜してください」など、話し相手(2人称)に対して、話し手の命令や要求、依頼を表す「命令法」について学んでいきましょう。

ご興味のある方は、当サイトで ドイツ語クイズ(5000問) を出題しておりますので是非ご覧ください。

目次

命令法とは

私たちが人と話をしたり何かを書いたりするとき、どのような伝え方が適切か、そしてその表現が妥当なのかを考えながら組み立てています。

このような、話し手による「発話内容の伝え方」に関する動詞の活用体系は「」と呼ばれ、ドイツ語の法には「直説法」「命令法」「接続法」の3つがあります。

・直説法:要求や非現実などの特別な意味を加えない文
・命令法:対話する相手への要求を表す文
・接続法:話者の頭の中の世界を表す文

命令法は、対話相手への要求として語る法です。そして命令法を用いた文を「命令文」といいます。

  • 直説法:Er ist immer noch krank.(彼はまだ病気だ。)
  • 命令法:Komm mal her.(ちょっとこっち来て。)
  • 接続法:Ich hätte ihn gern besucht.(彼のところに行きたかったな。)

命令文のつくり方

私たちが日本語で人に何かをお願いするときに、どんな間柄でも同じ言い方をしているわけではありません。

ドイツ語も同じで、家族や友人などの親しい関係の場合と、ビジネスや公的な場での命令・要求文も表現が異なります。それぞれの命令文のつくり方を、順を追ってご説明していきます。

du 親称

まずは親しい間柄で使う2人称の du の場合です。

<du に対しての命令文のつくり方>
・主語を省く
・人称変化した動詞の「-st」と「ウムラウト(¨)」を省く
・不規則動詞のうち、語幹が「e」から「i(e)」に変わる場合は、語幹を変化させたまま用いる
・werden の場合は、例外的に変音しない
・形容詞を使って命令する場合は、「sei」を用いる

人称変化した動詞の「-st」と「ウムラウト(¨)」を省く

相手の人称が du の場合、「-st」を省いたうえで、母音が a から ä に変音する動詞の場合は、さらにウムラウトも省きます。

Geh sofort!
(すぐに行きなさい! → gehst

Frag ihn selbst.
(彼に聞いてみなよ。→ fragst

Schlaf gut.
(よく眠って。→ schläfst

Fahr langsamer!
(ゆっくり運転して! → fährst

Lüg nicht!
(嘘をつくな。→ lügst

Gib mir das.
(それちょうだい。gibst

Trink kein Bier!
(ビールを飲まないで!→ trinkst

Warte mal!
(ちょっと待って! → wartest

Öffne bitte das Fenster.
(窓を開けて。→ öffnest

不規則動詞のうち、語幹が「e」から「i(e)」に変わる場合

du に対する命令形で用いる際に、語幹を変化させたままにします。

Lies das!
(これを読んで!→ liest)

Iss schneller!
(早く食べて!→ isst)

Vergiss es!
(忘れて!→ vergisst)

形容詞を使う場合

du に対して形容詞を使って要求する場合は、sein を変化させた「sei」を使います。

Sei leise!
(静かにして!)

Sei nett zu alten Leuten.
(お年寄りには親切にしなさい。)

ihr 親称複数

2人以上の親しい間柄で使う ihr の場合です。ルールは非常に簡単で、動詞は通常の人称変化と同じです。

<du に対しての命令文のつくり方>
・主語を省く
・直説法の動詞を人称変化させたまま用いる
・形容詞を使って命令する場合は、「seid」を用いる

直説法の動詞を人称変化させる

Arbeitet!
(働け!)

Kommt nicht her!
(来ないで!)

Sprecht langsamer.
(もっとゆっくり話して。)

形容詞を使う場合

ihr に対して形容詞を使って要求する場合は、sein を変化させた「seid」を使います。

Seid leise!
(静かにして!)

Seid vorsichtig, sonst passiert noch ein Unglück!
(気をつけなさい、さもないと良くないことが起こるわよ。)

関連記事:【noch の使い方】ドイツ語トレーニング

Sie 敬称

Sie で呼び合う相手に対して要求を行う場合です。

<Sie に対しての命令文のつくり方>
・単数と複数ともに、接続法1式を使った「不定形 + Sie」で表す
・形容詞を使って要求する場合は、「seien」を用いる

不定形 + Sie

bitte を使うと少し丁寧な要求になります。

Sprechen Sie nicht hier!
(ここで話してはいけません。)

Halten Sie bitte an der nächsten Kreuzung.
(次の交差点で止まってください。)

Füllen Sie bitte dieses Formular aus.
(この書類にご記入ください。)

Bitte kommen Sie herein.
(どうぞお入りください。)

形容詞を使う場合

Seien Sie nicht so nervös.
(緊張なさらずに。)

wir

実際には「命令」ではなく「〜しましょう」という勧誘の表現です。

<wir に対しての勧誘文のつくり方>
・接続法1式を使った「不定形 + wir」で表す
・形容詞を使って要求する場合は、「seien」を用いる

Gehen wir schnell dahin!
(さあ早く行こう!)

Treffen wir uns um 12 Uhr.
(12時に会いましょう。)

Seien wir ehrlich.
(正直に話しましょうよ。)

POINT

・jdn. treffen:人と会う (※この uns は4格です)
・ehrlich:誠実な、真面目な

mal

mal の機能のひとつに、命令文において「要求の度合いをやわらげる」というのがあります。
日本語に訳しますと、「ちょっと」や「〜してみて」のようなニュアンスです。
口語では bitte と同じ意味ですが、よほど親しくない限り bitte を使ったほうが良いでしょう。

Komm mal her!
(ちょっとこっち来て!)

Gib mir bitte mal das Glas her!
(ちょっとそのグラスを取って!)

関連記事:【mal と Mal の違い】ドイツ語トレーニング

doch

命令文に doch を用いると、より切実な表現が可能になります。

Komm doch mit!
(一緒に来て!)

Lass mich doch in Ruhe!
(ほっといてよ!)

Bedenken wir doch die Situation.
(状況を考えよう。)

関連記事:【doch の使い方】ドイツ語トレーニング

分離動詞

分離動詞の場合は、基礎動詞を文頭にし、前つづりを文末に置きます。

Bring doch deinen Bruder mit.
(お兄さんも連れていらっしゃい。)

So höre doch endlich auf!
(もういい加減にやめろよ!)

Ruf mich bitte an!
(私に電話して!)

関連記事:【aufhören】ドイツ語の分離動詞を攻略する

再帰動詞

再帰動詞の命令文の場合は、その命令で想定される主語に応じた再帰代名詞を補います。

Stell dir das einen Augenblick lang vor.(du の場合)
Stellt euch das einen Augenblick lang vor.(ihr の場合)
(ちょっと想像してみて。)

関連記事:【再帰動詞】ドイツ語トレーニング

POINT

・einen Augenblick lang:少しの間、一瞬
・sich3 etw. vorstellen:想像する

lassen

lassenuns + 不定形」で、英語の「Let’s / Let us」と同様に、話者を含む「私たち」に対する勧誘の表現になります。相手の人称によって lassen を使い分けます。

duLass uns
ihrLasst uns
SieLassen Sie uns

Lass uns etwas essen gehen.
(食事でもしに行こう。)

Lass uns nicht mehr davon reden.
(もうその話はよそうよ。)

Lasst uns anstoßen.
(乾杯しよう。)

Setzen Sie sich, lassen Sie uns ein wenig plaudern.
(おかけください、少しお話でもしましょう。)

関連記事:【lassen】ドイツ語の助動詞をマスターする

POINT

・anstoßen:乾杯する
・plaudern:おしゃべりする、雑談する

その他の要求・依頼の表現

上記で挙げた要求・依頼のほかにも、まだまだ多くの表現があります。

話法の助動詞

müssenwollensollen などの話法の助動詞では、要求や勧誘の言い方があります。

Du musst fleißig lernen.
(真面目に勉強しなさい。)

Wollen wir nicht tanzen?
(一緒に踊りませんか?)

Sie soll heute Mittag zu mir kommen.
(彼女にお昼に私のところに来るように言って。)

関連記事:【zu】ドイツ語の前置詞を徹底攻略

名詞や副詞による命令文

Hilfe!
(助けて!)

Still!
(静かに!)

Vorsicht!
(気をつけて!)

不定詞 による命令

事務的な表現になります。

Aufstehen!
(起立!)

Alles aussteigen!
(全員下車願います。)

Nicht rauchen.
(禁煙。)

直説法現在2人称

Du bleibst hier.
(ここにいなさい。)

Kommst du hierher?
(こっちに来てくれる?)

このほかにも、接続法1式接続法2式 を用いた 願望の表現 があります。余力がある方は是非ご一読ください。


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