【mögen と wollen の違い】ドイツ語トレーニング

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müssen と sollen の違い に続き、今回はドイツ語で願望意図を表す話法の助動詞、mögenwollen の使い方の違いについて、例文とともにご紹介していきます。

ドイツ語の学習を始めたばかりの方々の中には、mögenmöchte が別の動詞だと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、これは mögen直説法接続法2式の用法によって意味が異なるためです。

これらの違いを知って、使い方をしっかりマスターしていきましょう。

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目次

mögen

mögen は、基本的には「〜を好む」「〜するつもりだ」という概念です。

Ich möchte . . . に代表されるように、「〜したいと思う」「〜したいのですが」という願望や希望を、接続法2式 の用法で使います。

直説法では、要求推量許可 など様々な表現があります。

mögen の基本の活用形

助動詞haben 支配
1人称mag
親称 dumagst
er / sie / esmag
2人称複数 ihrmögt
親称 du 過去形mochtest
過去形mochte
ihr 過去形mochtet
過去形複数mochten
過去分詞gemocht

mögen の接続法2式の基本の活用形

1人称möchte
親称 dumögtest
er / sie / esmöchte
1人称複数 (wir)möchten
2人称複数 (ihr)möchtet
3人称複数 (sie)möchten

願望・希望

皆さんもご存知のように、「〜したい」「〜をお願いします」など、自分の願望や希望を表現します。「〜」の部分に入る動詞が文脈や状況から想像できる場合は省略されます。

疑問文の場合、「〜はいかがですか?」など、つまり「〜を希望されますか?」というニュアンスになります。

Ich möchte ein Wasser trinken.
(お水が飲みたい。)

Ich möchte Sahne auf den Kuchen.
(ケーキにクリームをのせていただきたいのですが。)

Ich möchte einen Tisch für zwei Personen für heute Abend um sieben Uhr reservieren.
(今夜7時に2人分のテーブルの予約をお願いします。)

Sie möchte gern ins Ausland reisen.
(彼女は海外旅行に行きたがっている。)

Du möchtest also wirklich allein dorthin?
(じゃあ、本当に一人で行きたいの?)

Das möchte ich überhört haben.
(それは聞かなかったことにしたい。)

Möchten Sie noch eine Tasse Tee?
(お紅茶をもう一杯いかがですか?)

Bitte nehmen Sie sich, was Sie mögen!
(何でもお好きなものをどうぞ。)

Am Hochzeitstag möchte ich schon lieber etwas Besonderes essen gehen.
(結婚記念日は何か特別なものを食べに行きたいな。)

関連記事:【nehmen】ドイツ語の基本動詞をマスターする

POINT

・reservieren:予約する (主にレストランや新幹線・劇場の座席などに使われます)
・überhören:聞き逃す
・das Ausland:外国、海外

〜が好きである

4格目的語を伴って、「人・物・事が好きである」と表現します。

Mögen Sie klassische Musik? − Ja, ich mag sie.
(クラシック音楽はお好きですか? − はい、好きです。)

Er mag Vögel beobachten.
(彼はバードウォッチングが好きだ。)

Mein Vater mag den Geruch von Zigarettenrauch nicht.
(私の父はタバコの煙の匂いが苦手です。)

Hör dieses Lied an. Es lohnt sich! − Aber ich höre doch nur klassische Musik, diese Musik mag ich überhaupt nicht.
(この曲聴いてみて。聴く価値があるから! − でも私はクラシックしか聴かないし、こういう音楽は全く好きじゃないの。)

関連記事:【kein と nicht の違い】ドイツ語トレーニング

POINT

・der Vogel:鳥
・beobachten:観察する、調査する、監視する
・der Geruch:匂い
・die Zigarette:タバコ
・der Rauch:煙
・sich lohnen:価値がある、役に立つ
・überhaupt:❶全く、すっかり、完全に、概して ❷(疑問・非難を強めて) 一体全体、そもそも

許容・許可

直説法を用いて、無関心な許容や許可を表現します。

Er mag nur reden.
(彼には言わせておけばいいんだよ。)

Mögen sie nur kommen, ich fürchte mich nicht.
(彼らが来たいなら来ればいいよ。怖くも何ともない。)

関連記事:【kommen】ドイツ語の基本動詞をマスターする

POINT

・reden:話す、会話する
・siche fürchten:恐れる、怖がる

推量(〜かもしれない)

直説法の平叙文で、「〜かもしれない」「〜だろう」という話者の推量を表現します。

müssen よりも確信度は低いです。

Es mochten wohl dreizig Leute sein.
(そこにいたのはおそらく30人くらいだろう。)

Er mag recht gehabt haben.
(彼は正しかったかもしれない。)

関連記事:【haben】ドイツ語の基本動詞をマスターする

POINT

・recht haben:正しい道理がある

要求

多くの場合、接続法1式(möge)または 2式(möchte)の形式を用いて、「〜してもらいたい」という要求を表すことがあります。接続法2式のほうがより丁重な表現です。

Er bat sie, sie möge ihm helfen.
(彼は彼女に手伝ってもらいたいと頼んだ。)

Duschen und Baden mögen Sie heute bitte unterlassen.
(今日はシャワーも入浴も控えてください。)

関連記事:【接続法2式を徹底攻略】ドイツ語トレーニング

POINT

・unterlassen:控える、慎む

wollen

wollen の主な使い方は「主語の意志・意図を表す」ことのほかに、「〜しようとしている」、「〜しそうになる」、「〜と主張する」、「これは〜されねばならない」など、様々な表現があります。

wollen の基本の活用形

助動詞haben 支配
1人称will
親称 duwillst
er / sie / eswill
2人称複数 ihrwollt
親称 du 過去形wolltest
過去形wollte
ihr 過去形wolltet
過去形複数wollten
過去分詞gewollt

wollen の接続法2式の基本の活用形

1人称wollte
親称 duwolltest
er / sie / eswollte
1人称複数 (wir)wollten
2人称複数 (ihr)wolltet
3人称複数 (sie)wollten

それでは、それぞれの用法について見ていきましょう。

意志・意図

主語の「〜するつもりだ」という明確な強い意志を表します。「〜」の部分に入る動詞が文脈や状況から想像できる場合は省略されます。
また、wir を主語にして勧誘を表現することもあります。

Sie will nach New York gehen.
(彼女はニューヨークに行くつもりだ。)

Womit will sie die Wand verzieren?
(彼女はこの壁を何で飾るつもりなんだろう。)

Ich will aus diesem engen Zimmer so schnell wie möglich ausziehen.
(この狭い部屋から出来るだけ早く引越しをしたい。)

Er will nicht, dass meine Kinder in einer Großstadt aufwachsen.
(彼は、子供たちが大都市で育つことを望んでいない。)

Der Hund will an die frische Luft gehen.
(犬がお散歩に行きたがっている。)

Ich wollte ihre Ansicht, sie von einer anderen Seite kennenlernen.
(私はあなたの見解を別の側面から知りたいと思いました。)

Diesen Film hat er schon immer sehen wollen.
(この映画は、彼が以前からいつも観たいと思っていたものです。)

Du willst wohl heute gar nicht ins Bett gehen? − Ich bin nicht müde.
(今日は全然寝たくないの? − 眠くないんだ。)

Wenn du das nicht willst, esse ich das.
(いらないなら私が食べるよ。)

Wollen wir langsam gehen?
(そろそろ行かない?)

Wollen Sie nicht mitfahren?
(あなたも一緒に旅行しませんか? → mögen の接続法2式 Möchten を使うと、より丁寧な表現になります。)

Wollen wir hier zelten? ー Nein, hier ist es nicht gestattet.
(ここでテントを張らない? ー ダメよ、ここでは許可されてないの。)

関連記事:【前綴り mit-】ドイツ語の分離動詞を攻略する

POINT

・etw. verzieren:飾る、装飾する
・ausziehen:脱ぐ、引っ越す
・eng:❶(幅などが) きつい、細い ❷間隔の詰まった、密な
・aufwachsen:育つ、成長する
・an die Luft gehen:風に当たる、外の空気を吸う
・schon immer:前々から、ずっと前から
・gestattet:gestatten「(希望・請求などを) 聞き入れる」「容認する」の過去分詞の形容詞用法です。

〜が欲しい

本動詞の代わりに4格を伴って、「〜が欲しい」という願望を表すことがあります。

Ich will etwas Süßes.
(何か甘いものが食べたい。)

傾向・気配

意志をもたない無生物を主語にして「〜しそうだ」、または否定語とともに「どうしても〜しない」という表現が可能です。

Es will bald regnen.
(今にも雨が降りそうだ。)

Der Motor will nicht anspringen.
(エンジンが一向にかかろうとしない。)

Die Tür will sich nicht öffnen.
(ドアがどうやっても開かない。)

関連記事:【ドイツ語】天気に関する表現

POINT

・bald:近いうちに、間もなく
・anspringen:(車が) 発進する

主張する

主語の「〜を主張している」という表現です。多くの場合、過去のことに関して言及します。
話者はその主張に対して若干の疑いを含んでいます。

Er will so etwas nicht getan haben.
(彼はそんなことはしていないと主張している。)

Mein Bruder will seine Hausaufgaben gemacht haben.
(私の弟は宿題をやったと言い張っている。)

関連記事:【machen】ドイツ語の基本動詞をマスターする

必要性(〜されねばならない)

受動(過去分詞と、sein または werden)の形をとって、必要性を表現することができます。
語順に注意してください。

Die Sache will gleich aufgeklärt werden.
(この問題はすぐに解明されなければならない。)

関連記事:【werden と sein/受動態の基本 編】ドイツ語トレーニング

POINT

・die Sache:物事、事柄、問題
・aufklären:明らかにする、はっきりさせる

実現しなかった意志

過去の意志「〜しようとしたのだが(実現しなかった)」という意味で使うことができます。

Eigentlich wollten wir irgendwo spazieren gehen, doch es regnete stark.
(本当はどこかにお散歩をしに行くつもりでしたが、大雨でした。)

関連記事:【eigentlich と tatsächlich の違い】ドイツ語トレーニング

POINT

・spazieren gehen:お散歩に行く
・doch:(しかし) ながら


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