【再帰代名詞】ドイツ語トレーニング

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今回は、ドイツ語の「再帰代名詞」の使い方を、例文とともにご紹介していきます。

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目次

再帰代名詞とは

再帰代名詞とは、同一の文中で3格または4格(ごく稀に2格)の代名詞が主語を指す語のことで、「〜自身」という、英語の「-self」や「beed」に似た機能を持っています。

通常、行為というのは他者や事物に向けられていますが、主語と目的語が同一である場合は、それらは「再帰の関係にある」と言えるため、「主語の行為がそれ自身に向けられている」ということになります。

あくまでも概念的に指しているものですので、日本語には無理して訳す必要がない場合が殆どです。

Die Berge spiegeln sich im See.
(湖に山が映っている。→ 山が自分自身を映している)

<再帰代名詞の位置>
基本的には必ず再帰動詞のすぐ近くに置きますが、定動詞のあとに主語と再帰代名詞が並ぶ場合、再帰代名詞が主語より前に置かれる傾向にあります。

例)Heute hat sich Mademoiselle in einer Prinzessin verwandelt.
(今日、そのお嬢さんは王女になりました。)

再帰代名詞の人称変化

3人称は通常の人称代名詞とは異なっており、これは「私」に対応するのは「私自身」ですが、文章によっては「彼」が2人以上存在するなど、その「彼」は必ずしも「彼自身」と対になっているとは限らないからです。
また、敬称の Sie の再帰代名詞も、sich (小文字) を用います。

※ 2格が使われることはめったにありません。

3格4格
ichmirmich
dudirdich
ersichsich
siesichsich
essichsich
Siesichsich
sie(複数)sichsich
wirunsuns
ihreucheuch

4格・3格

再帰動詞、または再帰的に用いた動詞とともに、「自分を」「自分に」を表します。
本来の再帰動詞以外でも、再帰的意味を強めるために selbst を添える場合もあります。

Damit hat er sich geschadet.
(そのことで彼は損をした。→ 3格/Dat.)

Er bildet sich ein, ein Genie zu sein.
(彼は自分を天才だと思い込んでいる。→ 3格/Dat.)

Hier ereignete sich ein Unfall.
(ここで事故があった。→ 4格/Akk.)

Ich freue mich, Sie kennenzulernen.
(お会いできて嬉しいです。→ 4格/Akk.)

Er lobt sich selbst gern.
(彼は自画自賛するのが好きだ。→ 4格/Akk.)

Er beeilte sich, um den Zug nicht zu verpassen.
(彼は電車に乗り遅れないように急ぎました。→ 4格/Akk.)

Sie erinnert sich gut an seinen Großvater.
(彼女はお祖父さんのことをよく覚えている。→ 4格/Akk.)

Er bezieht immer alles, was er hört, auf sich.
(彼は、耳にしたことは何でも自分に置き換えて考える。→ 4格/Akk.)

Jack kennt sich selbst sehr genau.
(ジャックは自分のことをよく分かっている。→ 4格/Akk.)

Die Umweltverschmutzung verschlimmert sich immer mehr.
(環境汚染は悪化の一途をたどっている。)

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POINT

・jdm./etw. schaden:〜に損(害)を与える
・sich3(Dat.) etw. einbilden:〜を想像する、思い込む、欲しがる
・sich ereignen:起こる、生じる、(大規模な祭典などが) 行われる
・sich selbst loben:自画自賛する
・sich beeilen:急ぐ
・sich auf etw. beziehen:関連する、結びつく
・sich an jdn./etw. erinnern:〜を思い出す
・sich verschlimmern:(病気・苦痛・苦悩・関係などが) 悪化する

前置詞とともに

前置詞を伴った使い方です。

Das hat er so an sich.
(それが彼のやり方だ。)

Er hat kein Geld bei sich.
(彼はお金の持ち合わせがない。)

Sie denkt nur an sich selbst.
(彼女は自分のことしか考えていない。)

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非人称主語

es および 様態を表す語などとともに、「それ自身」の意味で用いられます。

Hier lebt es sich gut.
(ここは暮らしやすい。)

Es sitzt sich gut auf diesem Stuhl.
(この椅子は座り心地が良い。)

Es handelt sich um unseren Sohn.
(それが、うちの息子のことなんです。)

Mit diesem Kugelschreiber schreibt es sich schlecht.
(このボールペンは書きにくい。)

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POINT

・Es handelt sich um etw.:今問題なのは〜だ、〜が問題となっている
・der Kugelschreiber:ボールペン

受動的用法

4格(Akk.)で、様態を表す語 や lassen とともに受動的な表現で使われます。

Dieses Buch verkauft sich gut.
(この本はよく売れている。)

Die Maschine bedient sich leicht.
(この機械は操作しやすい。)

Wie lässt sich diese Dose öffnen?
(この缶はどうやって開けるのかな。)

Das versteht sich von selbst.
(それは自明のことだ。→ 自ずと理解できる)

Der Roman liest sich flüssig.
(この小説はスラスラ読める。)

Wird sich diese neue Ware auf dem Weltmarkt verkaufen?
(この新商品は世界市場で売れるでしょうか。)

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POINT

・flüssig:流れるような、滑らかな、流暢な、液状の

所有・利害

「自分のために」「自分にとって」の意味になりますが、日本語に訳すと不自然になってしまうことが多いので、概念として使えるようにしておきましょう。

Ich kaufe mir ein Buch.
(本を買う。→ 3格/Dat.)

Emily wusch sich die Hände.
(エミリーは手を洗った。→ 3格/Dat.)

Er hat sich den Arm gebrochen.
(彼は腕を骨折した。→ 3格/Dat.)

Ich sah mir das Bild an.
(私はその絵をじっくりと眺めた。→ 3格/Dat.)

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POINT

・sich3(Dat.) etw. ansehen:〜をじっくり見る、観賞する

結果を表す

4格(Akk.)で、結果を表す語とともに「〜になった」「〜した」という意味で使います。

Ich habe mich müde gearbeitet.
(私は働き疲れた。)

Er hat sich satt gegessen.
(彼は心ゆくまで食べた。)

POINT

・sich müde arbeiten:働いて疲れる
・sich satt essen:お腹いっぱい食べる

強さ・作用

3人称のみ、そして「es in sich3(Dat.) haben」のかたちをとって、「〜は手強い」という意味で使われます。

Der Wein hat es in sich.
(このワインは強い。)

Diese Arbeit hat es in sich.
(この仕事はキツい。)

Der Junge hat es in sich.
(あの少年はなかなか容易ではない。)

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相互代名詞

複数の主語の相互代名詞の代わりとして、「お互いに」「〜し合う」という意味を表します。
einandermiteinander はやや固いフォーマルな表現になります。

Die Gäste begrüßen sich.
(ゲストたちが互いに挨拶を交わしている。)

Die beiden starrten sich scharf an.
(両者は鋭く睨み合った。)

Wann sieht man sich wieder?
(今度はいつお会いしましょうか?)

Wir trafen uns im Café.
(私たちはカフェで落ち合った。)

Wir haben uns geholfen.
(私たちはお互いに助け合った。→ 3格/Dat.)

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POINT

・jdn. begrüßen:歓迎の挨拶をする、歓迎する、人を喜んで迎え入れる
・jdn./etw. anstarren:〜をじっと見つめる、見入る、凝視する


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