
皆さんが文法の学習においてよく耳にする「関係文」と「関係詞」について、基本原理と使い方を例文とともにご紹介していきます。
英語とドイツ語では用法に相違点が多くありますので、その違いに注意しながら読み進めていただければと思います。
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目次
ドイツ語の関係文
「関係文」とは、関係詞を文頭においた節によって文を形成し、他の文につなげることで詳しい情報を付加する働きを持った文のことです。
これだけでは分かりにくいので、まずは「節」と「句」についてご説明します。
節 と 句
2つ以上の単語から成るもののうち、主語と述語を含むものを「節」といい、主語と述語を含まないものを「句」といいます。
節)Ich trinke Kaffee. (私はコーヒーを飲む。) → 主語と述語を含む
句)Deutsch zu lernen (英語を学ぶこと) → 主語と述語を含まない
つまり、「関係詞を文頭においた節」とは、関係詞・主語・述語 で構成された文のことを指し、これを主文とつなげることで「不足している情報を付加する」役割を果たします。
関係詞
関係詞とは、1つの文を他の文の語句に関係させる語のことで、「関係代名詞」と「関係副詞」とがあります。こちらについてはのちほどご説明します。
<ドイツ語の関係詞のルール>
・コンマで区切る
・副文の定動詞は文末に置かれる
関係詞 や 従属接続詞 などによって導かれる文は「副文」となり、英語では「従属節」に相当します。
副文のルール
副文は、時間、理由、結果、仮定などの論理展開を明確にしたうえで、それらを主文と結びつけ、主文の情報を補う働きをします。
- 主文:独立して成り立つ文
- 副文:主文を構成する文成分のひとつ
副文においては定動詞が文末に置かれ、関係詞 や 従属接続詞とで「枠構造」を形成し、主文を構成する要素のひとつとなります。
主文 + 副文(関係詞/従属接続詞 + 主語や目的語など + 定動詞)
例文を見てみましょう。
Dabei haben Einbrecher ein leichtes Spiel, wenn sich der Schlüssel unter der Fußmatte befindet.
(玄関マットの下に鍵があったら、泥棒は簡単に見つけてしまう。)
→「wenn」は 条件・仮定を表す従属接続詞で、副文の定動詞が文末に置かれています。
関係代名詞
関係代名詞とは、関係文の先頭に立って「接続詞」と「代名詞」の機能を合わせ持つ代名詞のことで、2つの文をつなげ、その代名詞の内容を詳しく説明する機能をもっています。人称・性・数は先行詞と一致し、格は関係節の働きによって変化します。
<関係代名詞のルール>
・コンマで区切る
・副文の定動詞は文末に置かれる
・関係代名詞の性と数は先行詞と一致する
関係代名詞には、先行詞をもつ「定関係代名詞」と、先行詞をもたない「不定関係代名詞」とがあります。
定関係代名詞
Der Junge, der das Boot rudert, ist ein Freund von mir.
(ボートを漕いでいる少年は私の友人です。)
この der は、「少年」を先行詞とした関係代名詞で、男性名詞の1格であることを表しています。
さらに「ボートを漕いでいる」という節をつくり、「私の友人である」という文をつなげる役割を果たしています。
不定関係代名詞
Ich habe noch gut im Gedächtnis, was Frau Schmidt damals sagte.
(シュミットさんが当時おっしゃったことを今でもよく覚えています。)
この was は「〜するもの・こと」を表す関係代名詞で、接続詞と代名詞の役割を果たしています。
※ 定関係代名詞 と 不定関係代名詞 については、以下の記事で詳しくご説明しています。
関連記事:【der・dem・denen など/定関係代名詞】ドイツ語の関係代名詞①
関連記事:【wer と was/不定関係代名詞】ドイツ語の関係代名詞②
関係副詞
関係副詞:関係文の先頭に立って「時」や「場所」、「理由」などの情報による関係文を形成します。
<関係副詞のルール>・コンマで区切る
・副文の定動詞は文末に置かれる
・先行詞が国名や地名などの固有名詞、および 副詞 の場合は関係副詞(wo、woher、wohin)を用いる
In letzter Zeit verfolgt mich dieser Mann, wo auch immer ich hingehe.
(最近、この男は私がどこへ行っても追いかけてきます。)
→ 「wo」は 場所や時点を表す関係副詞で、ここでは「私が行く場所はどこでも」と意味しています。また、副文では分離動詞は人称変化させるのみで、分離はさせないのがルールです。
制限的用法と追加的用法
関係文には、先行詞とのつながりに基づいて、「制限用法(限定用法)」と「追加的用法(継続用法)」とがあります。
・制限的用法:文の意味を正確に理解する上で必要不可欠な情報を表す
・非制限的用法:関係文が先行詞に補足的な説明を付加する
英語の場合には、非制限的用法の場合にだけ関係詞の前にコンマを打つことになっているので判別しやすいですが、ドイツ語ではどちらの用法でもコンマが必須なので、コンマでは判断することはできません。
制限的用法の例
Hunde, die bellen, beißen nicht.
(吠える犬は噛みつかない。→ 複数1格)
Das ist ein Geschenk, das ich in Japan gekauft habe.
(これは私が日本で買ってきたプレゼントです。→ 中性4格)
Eine Frau, deren Ehemann gestorben ist, nennt man „Witwe“.
(夫を亡くした女性は「未亡人」と呼ばれる。→ 男性2格)
Von allen Filmen, die ich bisher gesehen habe, ist das hier der beste.
(これは私が今まで観た中で最高の映画だ。→ 複数4格)
・bellen:(犬や虎などが)吠える
・beißen:(人・動物が、物・人を)噛む、噛みちぎる
・bisher:今のところ、現在
追加的用法の例
Mein Sohn, der krank war, ist wieder gesund und munter.
(私の息子は病気でしたが、もう元気になりました。)
Sie schreibt ihre Gedichte auf kleine Zettel, die sie in ihrer Wohnung aufhängt.
(彼女は小さな紙に詩を書いて、それを部屋に貼っている。)
関連記事:【Haus と Wohnung の違い】ドイツ語トレーニング
・das Gedicht:詩、詩歌
・der Zettel:メモ、紙切れ、荷札
・aufhängen:(帽子や衣服などを)掛ける、つるす、つり下げる、(絵や作品などを)壁に展示する
・gesund:健康な、健全な
・munter:活発な、快活な