【リースクレーター博物館】果てしない宇宙のロマン − ネルトリンゲン

Posted in ドイツ, 旅行記
©︎RIKA /リースクレーター博物館にて − ネルトリンゲン

ドイツのロマンティック街道沿いに位置し、中世の面影を今に残す城郭都市ネルトリンゲン。
綺麗な円形のこの街は、1500万年前に落下した隕石によってできた、リース盆地の上にあることで知られています。

そんなネルトリンゲン旧市街の北部を流れるエガー川のほんの少し北側に、隕石や地質学などについて詳しく説明されている「Rieskrater Museum / リースクレーター博物館」があります。

隕石からクレーター形成、地質の変化まで

リースクレーター博物館の入り口

この直径25kmに及ぶ見事な円形の盆地の成立について、19世紀から様々な解釈や学説が存在していましたが、火山の噴火によるものとする説が有力視されていました。

隕石の衝突だと唱えた学者もいたのですが、その頃はまだ周囲は一笑に付していたそうです。

しかし1960年代になり、リース周辺で産生された石材の中から、特殊な条件下(隕石の衝突)による圧力と温度からのみ生成された岩石が発見され、隕石の衝突跡だと証明されました。

まず隕石が衝突しますと、その衝撃で地面が窪むのと同時に、周囲が同心円状に盛り上がります。
これは、水面に1滴のお水を落としたときの動きを想像すると分かりやすいかも知れません。

そして宙に舞い上がった岩石や粉塵が再び地表に降り積もって層が作られます。
この時、周辺地域の地層の様々な岩石が複雑に入り混じり、Bunte Brekzie ブンテ角礫岩と呼ばれる特殊な礫岩が形成されます。
(Bunte は「カラフルな」という意味です)

さらにブンテ角礫岩の上には、この衝撃による高温・高圧で溶融した岩石が冷えて出来上がったガラスの破片が含まれた、大変珍しい角礫岩が生成されます。

この角礫岩は Suevite スエバイトと呼ばれ、聖ゲオルク教会の説教壇の石段や、市庁舎の外階段など、ネルトリンゲンの建築物の一部に使用されています。

▼ 展示室の中央では、リースクレーター形成の様子がスクリーンで映し出されていました。

▼ かつてリースにはアポロの宇宙飛行士が訓練のために訪れたことがあり、アポロ16号が月から持ち帰ったといわれる月の石が展示されています。

▼ Der Meteorit Neuschwanstein
2002年4月にノイシュヴァンシュタイン城の近くに落ちたという隕石。1705グラム。

▼ 地質学のほかに、恐竜・化石など、好きな人にはたまらない空間です。

Trias 三畳紀、Jura ジュラ紀、Kreide 白亜紀の文字を見て、子供の頃に恐竜やアンモナイトの図鑑を夢中で読んだことを思い出しました。

見学して行くと、隕石が地球に落ちて、その衝撃で地表がこうなって. . . と、一応説明をなぞったつもりになるものの、ただただ宇宙の神秘に行き着いてしまいます。

一体何がこの宇宙を動かしているのか、宇宙の果てはどうなっているのか、誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

決して尽きることのない宇宙の不思議。
想像をはるかに超える広大無辺な宇宙のロマンと自然の摂理を考えていると、あっという間に時間が過ぎていきました。

最後に

宇宙や星、地質学、恐竜、化石などの博物館は世界中に山ほどありますが、ロマンティック街道の途中で宇宙に思いを馳せる時間は、どこか特別なもののように感じられました。

ご興味のある方は、是非一度足を運んでみてください。

▼ Rieskrater Museum リースクレーター博物館の公式サイト
https://rieskrater-museum.de/index.php/de/

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