【ヘルゴット教会】リーメンシュナイダーの傑作をたずねて − クレクリンゲン

Posted in ドイツ, 旅行記

ロマンティック街道沿いに位置する、美しい田園風景に囲まれたクレクリンゲン。

ローテンブルク からバスまたはタクシーで30分ほどの距離にあり、人口はおよそ5000人ほどの小さな街です。

私はこの時ローテンブルクに宿泊し、ヘルゴット教会と指ぬき博物館を見学する目的で、日帰りでクレクリンゲンを訪れました。

こちらの記事では、ドイツを代表する彫刻家の一人である Tilman Riemenschneider ティルマン・リーメンシュナイダーの最高傑作といわれる、「聖母マリアの昇天」で有名なヘルゴット教会をご紹介します。

街の中心部から

クレクリンゲンの街並み

クレクリンゲンはとても小さな可愛いらしい街なので、一周するのに30分もかからなそうな感じです。

▼ 歩いていると、すぐにヘルゴット教会への標識がありました。

▼ 街の中心部から10〜15分、ゆっくりと景色を楽しみながら歩いて、指ぬき博物館の案内板を通り過ぎると、ヘルゴット教会が見えてきます。

▼ 赤い屋根の、素朴な佇まいの小さな教会です。

ヘルゴット教会の中へ

▼ 中へ入ると、天井へ届くほどの高さの「聖母マリアの昇天」が置かれていました。
写真では見たことがありましたが、こうして実物を見ると圧倒されてしまいます。

入り口でいただいたリーフレットによると、この祭壇は1505年から1510年にかけて制作され、その後の宗教改革、三十年戦争の混乱により、閉じられた教会の奥に埋もれてしまっていましたが、1832年に教会管理者の Michael Dreher ミヒャエル・ドレーア氏が再発見したことで奇跡的に300年の眠りから覚め、現在に至るまで完成当時の造形と色を維持しているそうです。

飾台の右側には、12歳のイエス・キリストと律法学者たちが彫り込まれており、その学者の一人として帽子をかぶっている人物がリーメンシュナイダー本人だといわれています。

▼ 天に召されるマリアと、その下で見守る十二使徒。

窓から差し込む柔らかな日の光に照らされたその表情は、とても作り物とは思えないほど豊かで繊細で、眺めているだけですーっと心が洗われていくような気がしました。

▼ ステンドグラスを通した光が、祭壇を優しく包み込みます。

▼ 記念にポストカードを購入しました。

▼ 教会の見学のあと、指ぬき博物館の開館まで少し時間がありましたので、近くの丘にのぼってしばらくぼーっとしておりました。

▼ 丘の上からは、指ぬき博物館とヘルゴット教会の両方が見えます。

Tilman Riemenschneider / ティルマン・リーメンシュナイダー

リーメンシュナイダー の肖像
(リーメンシュナイダー/Wikipedia)

ティルマン・リーメンシュナイダー(1460〜1531)は、ハイリゲンシュタットという小さな街に生まれ、10歳の頃からヴュルツブルクに移り住み、その後各地へ修行の旅に出て腕を磨いていきました。
再びヴュルツブルクに戻ると、1485年に金細工のマイスターの未亡人と結婚してマイスターの称号を得ます。
市参事会の依頼で制作した「アダムとイヴ」で高い評価を得て、40代半ばには市参事会員に選ばれ、60歳のときに市長を務めました。
ドイツ農民戦争では農民側に立ちましたが、司教側が勝利したことで捕らえられてしまい、拘束されて拷問を受け、それ以来作品を作ることなくこの世を去りました。
肉体的苦痛のみならず、人間、そして芸術家としての尊厳を打ち砕かれた絶望と無念さは、想像を絶するものだったに違いありません。

最後に

美しい自然の中に佇む教会で、こんな素晴らしい彫刻を見ることができたので、クレクリンゲンに来て本当に良かったと思いました。

ヘルゴット教会のあとは、すぐ近くにある指ぬき博物館も見学しました。
別記事でご紹介しておりますので、ご興味のある方は是非そちらもご覧ください。

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