英文簿記の基礎を学ぶ⑦ 会計原則

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会計原則とは、会計処理や財務諸表の作成において定められたルールのことをいいます。
国ごとに「Accounting principles / 一般に公正妥当と認められた会計原則」があり、その国の企業は、このルールに従わなければなりません。

目次

Accrual accounting / 発生主義会計

発生主義会計とは、取り引きが行われた時点で収支を認識する、つまり収益が発生した時点で収益と認識し、費用が発生した時点で費用を認識するという考え方のことで、
企業会計は原則として発生主義で認識されなければならないとされています。

例えば売掛金のように、入金を待たずに売上を計上したり、買掛金のように、出金がなくても費用を計上することなどが代表的なものです。

Cash basis accounting / 現金主義会計

現金主義会計とは、現金の収支の事実に基づいて認識する、つまり現金を受け取った時点で収益を認識し、現金を支払った時点で費用を認識するという考え方のことです。

現金主義では、現金の出入りの事実がなければ収支が記録されないため、発生主義よりも会計処理の不正が起こりにくいというメリットがあります。

しかしその反面、決算処理をしなければ正しい損益が分からないというデメリットがあります。

Going Concern Assumption / 継続企業の公準

継続企業の公準とは、企業が将来にわたって無期限に事業を継続するという前提のことで、この前提のもとに経営状態を明らかにしようとすると、存続期間を人為的に区切る必要があり、これが財務諸表を定期的(1年、四半期など)に作成される理由です。

この定期的に区切られた期間を Accounting period(会計期間)といいます。

Monetary unit assumption / 貨幣的評価の公準

貨幣的評価の公準とは、企業の経済活動は全て貨幣価値をもって計測される、という前提のことで、企業の成績を「貨幣」という誰にも分かりやすい共通の単位を用いて記録します。

Economic Entity Assumption / 企業実体の公準

企業実体の公準とは、企業はその所有者とは別の存在であり、会社の所有者である個人と会社は厳密に区別され、その会社に関する取引だけを会社の会計とします

Revenue recognition principle / 収益認識の原則

前述の発生主義に基づき、収益の認識時点について定める原則を Revenue recognition principle といいます。
一般的に、以下の2つを満たした時点で認識します。

When realized or realizable(実現した もしくは 実現可能なとき)
When earned(収益を受け取るべき義務が完遂されたとき)

具体的には、収益は商品を引き渡したとき(Goods are delivered)またはサービスを行ったとき(Services are performed)に認識されます。

実際には商売には様々な形態があるので、どのように履行義務が満たされたか決めるのが困難な場合があります。

そのため、原則を定めたうえでそれぞれの販売形態に応じてより適切な処理を判断することが大変重要です。

Matching principle / 費用収益対応の原則

損益を計算するにあたって、一会計期間に収益を得るために犠牲となった費用を差し引くことが最も合理的なので、
その対象となる収益が認識された時点で、費用も認識しようという考え方です。

つまり、Expense(費用)の recognition(認識)は、その支払いがいつ行われたかではなく、その目的である revenue(収益)がいつ認識されるかによります。

売上原価の計算はこの原則に基づいており、仕入れた商品のうち、今期に売れた分だけを売上に対応する費用とします。

また減価償却費はその資産を使用することで収益を生み出すのに貢献しているという仮定があります。

IFRS and U.S.GAAP / 国際財務報告基準と米国会計基準

会計処理や財務諸表の作成において従わなければならないルールのことを Generally Accepted Accounting Principles(一般に公正妥当と認められた会計原則)といいます。

GAAP が文書化されたものを Accounting standards(会計基準)といいますが、世界各国で独自の文化や法律を背景にしたものを適用することが近年まで認められていたため、国によってルールがバラバラになっており、経済のグローバル化に伴い様々な問題が生じていました。

そこで、国際的に統一されたルールを作成する目的で International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)が策定されました。

Parties Involved in Standard Setting / 基準設定の当事者

IFRS において会計基準の設定を行うのが International Accounting Standards Board(国際会計基準審議会)です。
ロンドンに本拠地がありますが、メンバーは様々な国から選ばれています。

米国においては、GAAP を制定及び施行する権限をもつのは Securities and Exchange commission(証券取引委員会)ですが、実際に会計基準の設定を行うのは Financial Accounting standards Board(財務会計基準審議会)という民間機関です。

ちょっとだけ理解度テスト

Q. Which of the following is the assumption that a company will continue in operation for the foreseeable future?

① Going concern assumption
② Economic entity assumption
③ Monetary unit assumption
④ None of above

A. ① Going concern assumption

<和訳>
以下のうち、将来にわたって企業が継続していくという考え方はどれか?

① 継続企業の公準
② 企業実体の公準
③ 貨幣的評価の公準
④ 上の選択肢にはない

Q. What does IFRS stand for?

① Industrial Financial Revenue Standards
② International Financial Revenue Standards
③ International Financial Reporting Standards
④ Industrial Financial Reporting Standards

A. ③

<和訳>
IFRS は何を表しているか?

Q. Which of the following is an application of accrual accounting?

① Recording utilities expense when the monthly bill is received
② Recording revenue at the time payment is received
③ Depreciating a building over its useful life
④ Expensing a machine in its entirety when purchased

A. ③

<和訳>
以下のうち、発生主義会計とされるのはどれか?

① 光熱費の請求書を受け取って費用とすること
② 支払いを受け取った時点で収益とすること
③ 建物を耐用年数にわたって減価償却すること
④ 機械の購入時に費用とすること

解説:
①は請求書を受け取った時点で費用としているので、発生主義ではありません。
③と④は現金主義会計です。


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