英文簿記の基礎を学ぶ⑧ 財務諸表分析

財務諸表は、株主、投資家、債権者、経営者など多くの利害関係者がその企業の経営状態を判断し、様々な意思決定に役立てます。
この章では、その判断の指標となる収益性や流動性について簡単にまとめています。

目次

Profitability / 収益性

収益性とは、どれだけ効率的に利益を上げているかをはかる指標で、以下の式にもとづいて算出することができます。

Net income margin(当期純利益率)= Net income / Sales

Ex. A社の Sales は $700,000、B社の Sales は $800,000 で、
Profit はそれぞれ A社が$36,000、B社が $32,000 であるとき、収益性が高いのはどちらか?

A社の当期純利益率・・・ 36,000 ÷ 700,000 = 5%
B社の当期純利益率・・・ 32,000 ÷ 800,000 = 5%

したがって、A社のほうが収益性が高いことが分かります。

四捨五入の英語表現・・・If necessary, round numbers to one decimal place.(必要であれば四捨五入して、小数点第一位の数値にしなさい)

Assets Utilization / 資産活用

資産を効率的に活用しているかどうかを判断することによって、企業の経営能力をはかることができます。

1)Inventory turnover(在庫回転率)

Inventory(棚卸資産)は、販売すると Cost of Sales(売上原価)となり、売上原価は1年間に販売した商品や製品のコストになります。

これを期末に残った棚卸資産の金額で割ると、どのくらい頻繁に売れているのか、効率的に販売できているのか(在庫回転率)が分かります。

Inventory turnover = Cost of Sales ÷ Inventory

Ex. A社 の商品 X と商品 Y の棚卸資産の金額と売上原価は以下の通りである。

商品X ・・・ 棚卸資産:$200,000 売上原価:$600,000
商品Y ・・・ 棚卸資産:$100,000 売上原価:$250,000

商品Xの在庫回転率 = $600,000 ÷ $200,000 = 3回転
商品Yの在庫回転率 = $250,000 ÷ $100,000 = 2.5回転

したがって、商品Xのほうがより効率的に販売ができていることが分かります。

2)Total assets turnover(総資産回転率)

企業が保有する資産をどのくらい効率的に活用して売上をあげているかを調べることによって、
企業の経営の質をはかることができます。

Total assets turnover = Sales ÷ Total assets

Ex. X社とY社は同じ $1,000,000 の売上だが、X社の資産は $1,400,000、Y社の資産は $700,000 である。

X社の総資産回転率 = $1,000,000 ÷ $1,400,000 = 0.71回転
Y社の総資産回転率 = $1,000,000 ÷ $700,000  = 1.4回転

したがって、Y社のほうが資産の回転率が高く、資産をより効率的に活用していることが分かります。

Liquidity / 流動性

流動性とは、保有する資産をどれだけ容易に現金化できるかを意味し、企業が流動負債を返すために、流動性の高い資産をどれだけ保有しているか、つまりその企業の短期的な負債を返す能力を判断する指標となります。

1)Current ratio(流動比率)

流動資産と流動負債をを比較することによって、負債の金額が適正かどうかを判断する指標となります。
流動比率が 100% 以下になると、流動負債を返済するために資本や長期負債が使用されていることになり、
倒産の可能性が高まります。一般的には、流動比率は150%以上が望ましいとされています。

Current ratio = Current assets ÷ Current liabilities

Ex. A社 の Year 1 と Year 2 の Current assets と Current liabilities は、それぞれ以下の通りである。
短期的な支払い能力が高いといえるのは、どちらの年度か?

Year 1 ・・・ Current assets:$1,430,000 Current liabilities:$1,380,000
Year 2 ・・・ Current assets:$1,800,000 Current liabilities:$1,500,000

Year 1 の流動比率 = $2,000,000 ÷ $1,380,000 = 144.92%
Year 2 の流動比率 = $1,800,000 ÷ $1,500,000 = 120%

したがって、Year 1 のほうがより短期的な支払い能力が高かったことが分かります。

2)Quick ratio(当座比率)

流動資産の中でも、Inventory(棚卸資産)は状況によっては販売できるかどうか分からなかったりと、すぐに現金化できないこともあります。

したがって、より厳密に支払い能力をはかるために、当座比率という指標があります。
一般的には、当座比率は 80% 以上が望ましいとされています。

Quick ratio =( Current assets ー Inventory )÷ Current liabilities

Current assets から Inventory を引いたものは 当座資産といい、現金のほかに預金、受取手形、売掛金、有価証券などが含まれます。

Ex. A社 の Current assets は $1,430,000、Current liabilities は $1,380,000 である。
この中にInventory が $40,000 含まれているとして、当座比率を求めなさい。

Quick ratio =( $1,430,000 ー $40,000 )÷ $1,380,000 = 100%

したがって、当座比率が100%あるので、支払い能力については比較的安全であるといえることになります。

Debt Management / 負債管理

流動負債だけではなく、固定負債も考慮したうえで、企業の長期的な負債を返す能力があるかを判断します。

資産は資本と負債とで調達されますので、資産のうち、どれくらい負債で調達されたかを見るのが Debt ratio(負債比率)という指標です。

Debt ratio = Total debt ÷ Total assets

この比率が低ければ、支払い義務のある固定コストが低いことになり、売上が減少したとしてもすぐに財政状況が悪化することにはならないと考えられるので、企業の財政状態は比較的良好であるといえます。

Ex. X社 と Y社 の Debt と Equity は以下の通りである。財務に不安があるといえるのはどちらか。

X社 ・・・ Debt:$60,000 Equity:$100,000
Y社 ・・・ Debt:$90,000 Equity:$130,000

X社 の負債比率 = $60,000 ÷ $100,000 = 60%
Y社 の負債比率 = $90,000 ÷ $130,000 = 70%

したがって、Y社のほうが負債比率が高いため、X社に比べて財務に不安があるといえます。

Overall Financial Measures of Performance / 総合的な業績の財務指標

1)Return On Equity(株主資本利益率)

当期純利益とは、企業が様々な費用や税金を差し引いたあとに残る最終的な利益であり、これは原則的に株主のものです。

株主資本利益率とは、株主、投資家の視点から見た投資効率はどうか、つまり株主の持分に対してどれだけのリターンを生み出しているかをはかる指標で、
株主が出資した金額に対してこの利益が多いほど、株主にとって業績の良い企業ということになります。

ROE = Profit(当期純利益) ÷ Equity(資本)

Ex. X社 と Y社 の Profit と Equity は以下の通りである。それぞれの ROE を求めなさい。

X社 ・・・ Profit:$30,000 Equity:$400,000
Y社 ・・・ Profit:$40,000 Equity:$800,000

X社 の ROE = $30,000 ÷ $400,000 = 75%
Y社 の ROE = $40,000 ÷ $800,000 = 50%

当期純利益だけを見るとY社のほうが大きいですが、資本の額が小さいX社のほうがROE が高いため、
株主にとってはX社のほうがより投資の効率性が良いといえます。

2)Return On Assets(総資産利益率)

1)のROEは株主視点の指標であるのに対し、ROAは企業が所有する全ての資産に対してどれくらいの利益が生み出されているかを見る指標なので、債権者と株主の両者から投資の効率性をはかることができます。

ROA = Return(利益) ÷ Assets(資産)

Ex. X社 と Y社 の Return と Assets は以下の通りである。それぞれの ROA を求めなさい。

X社 ・・・ Return:$70,000 Assets:$300,000
Y社 ・・・ Return:$56,000 Assets:$330,000

X社 の ROA = $70,000 ÷ $300,000 = 23%
Y社 の ROA = $56,000 ÷ $330,000 = 17%

したがって、企業全体の利益効率はY社よりもX社のほうが良いといえます。

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