ドイツの中でも屈指の人気を誇る観光ルート、「ロマンティック街道」のハイライトとして名高いローテンブルク。
中世の城郭都市として、約4.2kmの城壁で囲まれています。
観光でローテンブルクを訪れる方々は、主に Rödertor(レーダー門)、Spitaltor(シュピタール門)、または Galgentor(ガルゲン門)を利用されることが多いと思いますが、旧市街の北西に位置するKlingentor(クリンゲン門)には、別名「羊飼いの教会」といわれる「St. Wolfgangskirche / 聖ウォルフガング教会」があります。
この教会はクリンゲン門と分厚い壁でつながっていまして、かつて砲座をもつ要塞として機能していたため非常に強固な造りをしています。
つまり城壁の壁がそのまま教会の壁になっている、とても珍しい教会なのです。
羊飼いの教会
この教会は、羊飼いの団体によって1475年〜1493年にかけて後期ゴシック様式で建てられました。
中世のローテンブルクでは、羊の養殖と羊毛の取引が盛んに行われていて、重要な産業のひとつだったそうです。
そしてクリンゲン門は、羊飼いたちにとって街への玄関口でもあったのです。
▼ 聖ウォルフガング(下のレリーフ)は、獰猛な狼(ウォルフ) から羊を守るという意味があるため、羊飼いたちの守護神として祀られています。
▼ 教会の入り口です。
▼ 教会内はひっそりと静まり返っています。
▼ 祭壇は3つありまして、細部まで芸術的です。
▼ そろそろ教会を出ようとしたとき、受付のおじさまが「中も見ていったら?」と階段を指差すので入ってみたところ、展示スペースがありました。知らなかったのでちょっと嬉しいです。
▼ 重厚な回廊が続きます。
▼ ロールプレイングゲームのダンジョンのような空間が広がっています。
この雰囲気、好きです。
▼ 羊飼いの生活に関する資料の展示室です。日用品や衣服などもあり、小さなミュージアムのような感じです。
この教会自体があまりガイドブックに載っていないためか、まるで隠れ家にでもきたかのように感じられます。
▼ ローテンブルクの伝統行事のひとつである、「羊飼いの踊り」の様子を模した人形たちです。
羊飼いたちはこの教会で礼拝を終えたあと、踊りながら居酒屋に繰り出していそうです。
▼ クリンゲン門の塔は、16世紀の頃に貯水タンクが設置されていまして、街の井戸に給水する役割を果たしていたそうです。
城壁の外側に回ると、教会とつながっているのがよく分かります。
最後に
聖ウォルフガング教会の周辺は、ローテンブルクの中でも比較的人通りが少なく静かなのですが、クリンゲン門から城壁へ上がり、途中ガルゲン門とレーダー門を通ってシュピタール門まで街を眺めながら歩くことができます。
もちろん、シュピタール門からクリンゲン門まで歩き、聖ウォルフガング教会を見学するのも良いでしょう。
ご興味のある方は、教会内の展示室も是非一度覗いてみてください。