英文簿記の基礎を学ぶ⑤ 決算手続/決算整理試算表と精算表

Posted in 英文簿記

前章では、減価償却と棚卸資産の決算整理仕訳についてご説明しました。
決算整理仕訳 が完了しますと、続いては決算整理後試算表と精算表の作成を行います。

目次

Adjusted trial balance / 決算整理後試算表

Adjusting entry を行ったあとに、posting が正しく行われているかを検証するために、もう一度試算表を作成します。
これを Adjusted trial balance(決算整理後試算表)といいます。

次の Trial balance と Adjusting entry に基づいて、Adjusted trial balance を作成します。

Trial balance (決算整理前の試算表)

Adjusting entry (決算整理事項)

1)固定資産の減価償却を $100 計上する
2)賃借料について、前払家賃を $50 計上する

1)の仕訳
Dr. Depreciation expense   100
 Cr. Accumulated depreciation   100

2)の仕訳
Dr. Prepaid rent   50
 Cr. Rent expense   50

1)と2)の整理仕訳によって試算表がどう変わるか、
下の図で Adjusting entryAdjusted trial balance の欄を確認してみましょう。

Worksheet / 精算表

Worksheet は、決算の一連の手続きを一覧にしたもので、貸借対照表(Balance sheet)と損益計算書(Profit and Loss)を効率よく作成するために用いられる表です。

必ず作成しなければならないものではありませんが、精算表があれば損益計算書と貸借対照表を作成する前に決算処理の間違いに気づくことができ、処理を円滑に進めることができます。

作成手順

1)決算整理仕訳を行い、Adjustment の欄に記入する

2)Trial balance 欄に記入されている 各勘定の金額と Adjustment 欄の金額を、同じ側同士なら可算、貸借逆なら減算し、残高があるほうに移す

→ Income・Expense の残高は I/S欄、Assets・Liabilities・Equity の残高は B/S 欄

3)B/S 欄、 I/S欄 の貸借差額で Net income が計算される。(最終的には Retained earnings に加えられる)

次の Trial balance と Adjusting entry に基づいて、Worksheet を作成します。

Adjusting entry (決算整理事項)

① 期末商品の棚卸高は $600 である
② 支払利息 $350 が次期分であることが判明した
③ 現金売上 $100 の計上が未処理であった
④ 備品について減価償却費 $230 を計上する

①の仕訳
Dr. Purchase   400
 Cr. Inventory   400
Dr. Inventory   600
 Cr. Purchase   600

②の仕訳
Dr. Prepaid expense   350
 Cr. Interest expense   350

③の仕訳
Dr. Cash   100
 Cr. Sales   100

④の仕訳
Dr. Depreciation expense   230
 Cr. Accumulated depreciation   230

以上の ①〜④ の仕訳の結果を確認してみましょう。↓

Closing entry / 締切仕訳

Adjusting entry によって、各 Account の記録が正しく行われたあと、当期と次期で区切ることを締切といいます。

締切の手順

1)Income・Expense の各勘定の残高を Income summary (損益)勘定に振り替える
→ 収益・費用に関する勘定科目をひとまとめにして、当期純利益(純損失)を計算するために、決算では新たに Income summary という科目を作成する

2)Profit(または Loss)を Equity(資本金)勘定に振り替える
→ Income summary で計算した Net income(当期純利益)を Retained earnings に振り替える

3)Asset・Liabilities・Equity 勘定の締め切り
→ 損益勘定を締め切って Retained earnings(利益剰余金)に振り替えると、Asset・Liabilities・Equity 勘定が残ります。
これらの勘定を締め切るときは、仕訳を行わずに、「E.B.(ending balance)」として残高を記入し、貸借の合計額を一致させます。

Ex. Adjusted entries を行ったあとの勘定は以下の通りである。Closing entry と、Income summary 勘定の締切を行う

IncomeClosing entry

Dr. Sales   5,000
 Cr. Income summary   5,000

ExpenseClosing entry

Dr. Income summary   4,000
 Cr. Purchase   3,900
 Cr. Depreciation expense   50
 Cr. Interest expense   50

Income summaryClosing entryRetained earnings 勘定に振り替える

Dr. Income summary   1,000
 Cr. Retained earnings   1,000

Post-closing Trial Balance / 締切後試算表

Asset・Liabilities・Equity の諸勘定は、各勘定の中で残高を繰り越し記入するため、締切に誤りがあるかどうか検証するために、
貸借対照表対象科目の残高(次期繰越の全額)を集計して Post-closing trial balance(繰越試算表)を作成します。


当サイトがお役に立ちましたら、ご支援いただけると励みになります。

Buy Me A Coffee

Scroll to top