英文簿記の基礎を学ぶ④ 決算手続き/減価償却と棚卸資産

Posted in 英文簿記

前章 では、決算手続きの費用と収益についてご説明しました。
この章では、企業が保有する固定資産の減価償却、消耗品の処理、そして売上原価を算出する方法について簡単にまとめています。

目次

Depreciation / 減価償却

建物や機械などは、長く使用していればいずれは古くなったり衰えたりしてしまい、段々と資産の価値が下がっていきます。

これを減価といい、会計の世界ではこの減価を費用として認識します。
ちなみに、土地は使うだけでは価値が下がることはありませんので、土地の減価償却は行いません。

Three Elements of Depreciation(減価償却計算の3要素)

  • Original(Acquisition) cost・・・取得原価(固定資産を取得あるいは制作し、これを使用可能な状況にするまでに必要となった諸支出が含まれます)
  • Useful life・・・耐用年数(固定資産が取得されてから廃棄されるまで、利用出来ると予想できる期間)
  • Salvage(Residual) value・・・残存価額

Straight-line method / 定額法

PP&Eの使用期間中、毎期一定の額を計上する方法です。

減価償却費 = ( 取得原価 ー 残存価額 )× 償却率
※ Depreciation rate(償却率)= 1 / 耐用年数

Ex. ある機械について、減価償却を行う。

  • Original cost・・・$20,000
  • Salvage value・・・$2,000
  • Useful life・・・5 years
  • Depreciation method・・・Straight-line method
  • 期首(January 1)に取得されたものである

Depreciation expense = ( $20,000 − $2,000 )÷ 5 で、
毎期 $3,600 減価償却していくことになります。

取得時・・・ $20,000
1年目・・・ $16,400
2年目・・・ $12,800
3年目・・・ $9,200
4年目・・・ $5,600
5年目・・・ $2,000

Ex. ある機械について、減価償却を行う。

  • Original cost・・・$20,000
  • Salvage value・・・$2,000
  • Useful life・・・5 years
  • Depreciation method・・・Straight-line method
  • 期中(April 1)に取得されたものである

取得時・・・ $20,000
1年目・・・ $17,300( $20,000 − $2,000 )÷ 5 ×( 9ヶ月/12ヶ月 )= $2,700
2年目・・・ $13,700
3年目・・・ $10,100
4年目・・・ $6,500
5年目・・・ $2,900
6年目・・・ $2,000( $20,000 − $2,000 )÷ 5 ×( 3ヶ月/12ヶ月 ) = $900

POINT

期中に取得した場合は、1年分の減価償却費を月数で按分します。
つまり耐用年数は5年ですから、1年目と6年目は月数で按分し、
そのほかの期は( $20,000 − $2,000 )÷ 5 = $3,600 で計算します。

Declining balance method / 定率法

帳簿価額に一定の焼却率をかけて計算する方法です。
この方法を用いた場合、最初は減価償却費が大きく、徐々に減っていくことになります。
これを Accelerated method(加速償却法)といいます。

定額法と異なり、償却率をかけるのは 帳簿価額 つまり「未償却残高」なので注意しましょう。

減価償却費 = 期首帳簿価額 × 定額法による償却率
※ Book value(帳簿価額)= Original cost(取得原価)ー Accumulated depreciation(減価償却累計額)

Double-declining balance method / 2倍定率法

定率法のうち、最も典型的なものがこの2倍定率法です。

減価償却費 = 期首帳簿価額 × 定額法による償却率 × 2
※ Book value(帳簿価額)= Original cost(取得原価)ー Accumulated depreciation(減価償却累計額)

Ex. ある機械について、減価償却を行う。

  • Original cost・・・$20,000
  • Salvage value・・・$2,000
  • Useful life・・・5 years
  • Depreciation method・・・Double-declining balance method
  • 期首(January 1)に取得されたものである

まず、定額法による償却率は 20%(1/5)なので、20% × 2 で 40% となります。

取得時・・・ $20,000
1年目・・・ $12,000($20,000 × 40% = $8,000)
2年目・・・ $7,200($12,000 × 40% = $4,800)
3年目・・・ $4,320($7,200 × 40% = $2,880)
4年目・・・ $2,592($4,320 × 40% = $1,728)
5年目・・・ $2,000

POINT

5年目の計算をそのまま行うと、帳簿価額が残存価額を下回ってしまうため、
残存価額までの差額( $2,592 ー $2,000 = $592 )のみを計上します。

Sum-of-the-years’-digits method / 級数法

固定資産の耐用年数の総和を分母として、各期首における残存耐用年数を分子として計算する方法です。

定率法と同様、最初は減価償却費が大きく、耐用年数の終わりにかけてそれが減っていくので、
Accelerated method(加速償却法)のひとつになります。

級数の総和 = n(n+1)/2
減価償却費 = ( 取得原価 ー 残存価額 )× 償却率
※ Depreciation rate(償却率)= 期首現在の残存耐用年数 / 級数の総和

耐用年数を5年とした場合、分母は15となり、

第1期の償却率=5/15
第2期の償却率=4/15
第3期の償却率=3/15
第4期の償却率=2/15
第5期の償却率=1/15

Ex. ある機械について、減価償却を行う。

  • Original cost・・・$20,000
  • Salvage value・・・$2,000
  • Useful life・・・5 years
  • Depreciation method・・・Sum-of-the-years’-digits method

取得時・・・ $20,000
1年目・・・ $14,000($18,000 × 5/15 = $6,000)
2年目・・・ $9,200($18,000 × 4/15 = $4,800)
3年目・・・ $5,600($18,000 × 3/15 = $3,600)
4年目・・・ $3,200($18,000 × 2/15 = $2,400)
5年目・・・ $2,000($18,000 × 1/15 = $1,200)

減価償却費の仕訳

減価償却費の仕訳には、「直接法」と「間接法」があります。

直接法有形固定資産の勘定を直接減額する
間接法有形固定資産勘定を直接減額せず、
資産をマイナスするための別勘定「減価償却累計額」を用いる

直接法

直接法は、有形固定資産の勘定を直接減額する記帳方法です。

帳簿価額(実質価値)= 有形固定資産の勘定
※ 有形固定資産の勘定の残高が帳簿価額を示す

Ex. ある Equipment について、減価償却を行う。

Original cost・・・$5,000
Salvage value・・・Original cost の 10%
Useful life・・・5 years
Depreciation method・・・Straight line method

Dr. Depreciation expense   900
 Cr. Equipment   900

POINT

直接法ですと、PP&Eの Equipment を直接減額していることが分かります。

間接法

間接法は、有形固定資産を直接減額することなく、資産をマイナスするための勘定である Accumulated depreciation(減価償却累計額)を用いる記帳方法です。

帳簿価額(実質価値)= 有形固定資産の勘定 ー 減価償却累計額
※ 有形固定資産の勘定は取得原価のまま記録されているため、この「減価償却累計額」をマイナスすることで帳簿価額が分かります。

Ex. ある Equipment について、減価償却を行う。

Original cost・・・$5,000
Salvage value・・・Original cost の 10%
Useful life・・・5 years
Depreciation method・・・Straight line method

Dr. Depreciation expense   900
 Cr. Accumulated depreciation   900

Supplies / 消耗品の処理

Supplies(消耗品)・・・オフィス用品や日用品などは、①購入時に費用として処理する方法と、②資産として処理する方法とがあります。

Ex. X社 は、5月1日に文房具 $50 を Cash で支払った。

① 購入時に全額 Expense として計上する場合

◆ 5月1日の処理

Dr. Supplies expense   50
 Cr. Cash   50

◆ 12月31日、決算につき文房具の期末未消費高が $20 であった。

Adjusting entry(決算整理仕訳)

Dr. Supplies   20
 Cr. Supplies expense   20

POINT

期末未消費残高(未使用分)を expense 勘定から asset 勘定へ振り替えます。

② 購入時に全額 Asset として計上する場合

◆ 5月1日の処理

Dr. Supplies   50
 Cr. Cash   50

◆ 12月31日、決算につき文房具の期末未消費高が $20 であった。

Adjusting entry(決算整理仕訳)

Dr. Supplies expense   30
 Cr. Supplies   30

POINT

当期中の消費高(使用分)を、Asset 勘定から Expense 勘定へ振り替えます。

Cost of sales / 売上原価を計算するための会計処理

売上原価とは、一会計期間に販売した商品の原価をいい、以下のように計算します。

Cost of sales = Beginning (balance)inventory(期首在庫)+ Purchase(仕入)ー Ending(balance)inventory(期末在庫)

仕入時に使用する勘定科目によって、以下の2通りの計算方法があります。

Periodic Inventory System(棚卸計算法)

この方法では、期中仕入時に Purchase 勘定で処理をし、期末に Physical count(実地棚卸)を行って、Ending inventory の額を確定してから Cost of sales を計算します。

Ex. 期首商品が $400 あり、今期 $2,600 仕入れた。
棚卸により、期末商品が $300 と分かった。期末の仕訳を行う。

1)期首残高を、Inventory 勘定から Purchase の借方勘定に振り替える
Dr. Purchase   400
 Cr. Inventory   400

2)期末残高を、Purchase 勘定から Inventory の借方勘定に振り替える
Dr. Inventory   300
 Cr. Purchase   300

Perpetual Inventory System(継続記録法)

この方法では、期中仕入時に Purchase 勘定を使わずに、資産である Inventory 勘定を使います。

販売の都度、売上原価を計算し Inventory 勘定から Cost of sales 勘定に振り替えていくので、
期末を迎えたときに Cost of sales 勘定は売上原価を示し、Inventory 勘定は期末の在庫を示すため、期末の調整仕訳の必要がありません。

Ex. 期中に商品 $500 を現金で仕入れ、この商品を $700 で現金販売した

● 商品購入時の仕訳

Dr. Inventory   500
 Cr. Cash   500

● 販売時の仕訳

Dr. Cost of sales   500
 Cr. Inventory   500

Dr. Cash   700
 Cr. Sales   700

Scroll to top