
ドレスデンのツヴィンガー宮殿の「陶磁器博物館」には、自称「磁器マニア」だったアウグスト一世(1670-1733)とその息子アウグスト3世が集めた、数千点にも及ぶコレクションが並んでいます。
特に強王が数多くの伊万里磁器を保有していたことから、日本磁器を非常に好んでいたことが窺えるのですが、15世紀から17世紀初頭の大航海時代以降、欧州にやってきた中国の景徳鎮や日本の伊万里といった東洋の陶磁器は、高級品として「白い黄金」と呼ばれ、各地の王侯貴族らがその財力の象徴として、こぞって収集に勤しんだといいます。
ヨーロッパ磁器界の頂点に君臨する マイセン では、柿右衛門様式の伊万里焼の写しがつくられていたことで有名ですが、創作期から18世紀の名品のオリジナルなども展示されており、とても見応えのあるコレクションです。
アウグスト強王

「アウグスト強王」ことザクセン選帝侯国選帝侯フリードリヒ・アウグスト一世(1670-1733)の肖像です。ポーランド王としてはアウグスト二世です。いかがですか、この凛々しい眉毛。
ザクセンの歴史は彼なしでは語れない、と断言できるほどに影響を与えた王様で、錬金術師ヨハン・フリードリヒ・ベトガー(1682-1719)を軟禁してヨーロッパで初めて白磁の製造を成功させ、あのマイセン窯を造らせたことでも有名です。自分の紋章である双剣がマイセンの窯印になっているのも頷けますね。
そして彼は芸術をこよなく愛し、ドレスデンの街を豪奢なバロック建築物であふれる文化都市に変貌させたという功績もございます。
驚異的な怪力の持ち主であったことから「ザクセンのヘラクレス」との異名を持ち、何と蹄鉄を素手でへし折ることがお好きだったようです。
ただ、政治家としてはあまり評価されていないようで。。。
陶磁器博物館へ
▼ こちらが博物館の入り口です。

▼ 広々とした、洗練されたデザインの展示室の壁には、美しい陶器の器がズラリ。

▼ 有田でつくられる、金の縁取りに赤・青・緑の柿右衛門磁器のデザインは、華麗なバロック建築とも相性が良く、現地では絶大な人気を誇っていたそうです。

ちなみにですが、アウグスト強王はアウグスト軍に属する兵士600人と、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム一世が所有していた竜騎兵の壺151個を交換したという逸話があります。
彼にとっては、軍隊の戦力よりも磁器収集のほうが重要度が上ってことですか。しかも普通に人身売買ですね。交換された兵士たちが不憫で仕方ありません。

▼ 中国から集められた美しいお皿や壺も数多く展示されています。

▼ 人間の手で造られたとは思えないほどの精緻さ。陶磁器の真骨頂みたいなものです。

▼ 深い藍色に気品が感じられます。

ニューヨークを拠点に活動している、著名な建築家ピーター・マリノ氏が、この博物館の展示デザインを手掛けたことで知られています。
▼ マイセン磁器製の、等身大の動物像の展示コーナー。

他にもたくさんの陶磁器が展示されていますので、ご興味のある方は是非見学してみてください。


