【聖ヤーコプス教会】リーメンシュナイダー「聖血の祭壇」- ローテンブルク

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ドイツのローテンブルクの市庁舎の塔からの眺め
©︎RIKA /ドイツ・ローテンブルクにて

ドイツの観光ルートの中で最も人気があると言っても過言ではない「ロマンティック街道」と、ハイデルベルクやニュルンベルクなどを通る「古城街道」が交差する、「生きた中世の都」として名高い「Rothenburg ob der Tauber /ローテンブルク ・オプ・デア・タウバー」。

市壁にぐるりと囲まれた旧市街には、まるで絵本の世界に迷い込んだかのような木組みの家が立ち並び、どこにカメラを向けても美しい写真を撮ることができます。

旧市街の中心には マルクト広場 があり、中世の街を上から見渡せる市庁舎の塔や、ローテンブルクの街を救ったヌッシュ市長の伝説を表現した仕掛け時計など、人々の憩いの場となっています。

そしてローテンブルクは、カトリック圏のバイエルン州にありながらプロテスタントが強い街として知られており、街の殆どの教会がプロテスタントなのです。

マルクト広場の北側に建つ、ローテンブルクの主教会である「聖ヤーコプス教会」は、15世紀に建てられたローテンブルクで最も大きなプロテスタント教会で、ドイツの偉大な彫刻家「Tilman Riemenschneider / ティルマン・リーメンシュナイダー」の傑作「聖血の祭壇」があることでも有名です。

それでは早速、教会内に入ってみましょう。

中央祭壇とステンドグラス

▼ 聖ヤーコプス教会には祭壇が2つあります。まず入ってすぐ目に入るのが、「十二使徒祭壇」ともいわれる中央の祭壇で、中世ローテンブルクで最も有名な人物のハインリヒ・トップラー市長により寄贈されたものだそうです。

高さのある窓からは、お日様の光が優しく差し込んでいます。

▼ 神々しい輝きを放つステンドグラス

▼ 堂々と鎮座する立派なパイプオルガン。1968年のものだそうなので、比較的新しいです。

2階の「聖血の祭壇」

▼ 階段をのぼると、パイプオルガンの裏側に導かれます。

▼ ティルマン・リーメンシュナイダーの傑作、「聖血の祭壇」は、実際に見るととても大きくて圧倒されます。

「聖血の祭壇」と呼ばれる由来は、イエスの血が保存されているといわれる水晶が、イエスの聖遺物の十字架の中に入っているからだそうです。

この祭壇は、「最後の晩餐」における、イエスが裏切り者を見抜いた場面が切り取られています。

イエスの「あなたたちのうちの一人が私を裏切ろうとしている」という言葉に、ヨハネが「主よ、それは誰ですか」と尋ね、イエスは「私がパンを浸して与えるのがその人だ」と答えます。

中央で横向きに立っている裏切り者のユダ。
ユダが中央に配されていることに、リーメンシュナイダーの深い意図が感じられます。

そしてイエスがぶどう酒に浸したパンを手渡す瞬間。

よく見ていただくと分かるのですが、他の者はその様子を見ていません。

ユダに緊張が走ります。

▼ 顔を前に向け、横目でユダを見つめるイエスに対し、やや腰が引けたように硬直しているユダの姿は、どこか人間の愚かさと弱さを象徴しているような気がしてきます。

Tilman Riemenschneider / ティルマン・リーメンシュナイダー

リーメンシュナイダー の肖像
(リーメンシュナイダー/Wikipedia)

ティルマン・リーメンシュナイダー(1460〜1531)は、現在では「中世ドイツの巨匠」として認知されていますが、当時の宗教改革や三十年戦争の荒波に飲まれ、彼の作品はのちに奇跡的に再発見されるまで、実に300年もの眠りについていたのです。

彫刻家として財を成した彼は、60歳のときにヴュルツブルクの市長に選ばれ、4年ほどこの職を務めましたが、農民戦争では農民側に立ち、司教側が勝利したことで捕らえられて拷問を受け、その後作品をつくることなく失意のうちにこの世を去りました。

最後に

いかがでしたでしょうか。
実際に間近で見ることのできた「聖血の祭壇」は、一人一人の表情が巧みに彫り分けられ、精緻を極めていて本当に圧巻でした。
ローテンブルクを訪れる予定の方がいらっしゃいましたら、是非その目で確かめていただきたと思います。
そしてもしお時間がありましたら、同じくリーメンシュナイダーの最高傑作といわれる「マリアの昇天」があるクレクリンゲンのヘルゴット教会(ローテンブルクからバスで約30分)にも是非足を運んでみてください。

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