英語とドイツ語の違いや、ドイツ語の格と法、sein の人称変化などについて、例文とともに学習していきましょう。
ご興味のある方は、当サイトで ドイツ語クイズ(5000問) を出題しておりますので是非ご覧ください。
目次
格とは何か
まず、ドイツ語のしくみを理解するためには「格」というものを知る必要があります。
名詞やその他の品詞や述語との意味関係を「格助詞」といい、インド・ヨーロッパ言語においては、語形の変化や前置詞によってその関係を示すのですが、ドイツ語には4つの「格変化」があります。
ドイツ語の「格」
1 格(Nom.) | 主格(〜は・〜が) |
2 格(Gen.) | 属格(〜の) |
3 格(Dat.) | 与格(〜に)・奪格(〜から) |
4 格(Akk.) | 対格(〜を) |
概ね日本語訳と同じではありますが、3格支配 と 4格支配 の動詞の中には、一部これに当てはまらないものもありますので注意してください。
1格(主格/Nom.)
主語 または 述語内容「〜は」「〜が」を示す格です。
Meine Mutter ist noch nicht wach.
(私の母はまだ起きていません。)
Als der Sturm vorbei war, brach die Sonne durch.
(嵐が去って太陽が顔を出した。)
2格(属格/Gen.)
所有・帰属・性質など「〜の」を示します。
Marias Visum läuft Ende des Monats ab.
(マリアのビザは今月の末に期限が切れます。)
3格(与格・奪格/Dat.)
間接目的語「〜に」「〜から」を示します。
Ich habe den Scheck dem Kassierer gegeben.
(私は小切手を出納係に渡しました。)
4格(対格/Akk.)
直接目的語「〜を」を示します。
Nun liest jeder die Geschichte für
(今度はこのお話を黙読してください。)
法とは何か
話し手による「発話内容の伝え方」に関する動詞の活用体系は「法」と呼ばれ、ドイツ語の法には「直説法」「命令法」「接続法」の3つがあります。
直説法
要求や非現実などの特別な意味を加えない文です。
Im Winter erkälte ich mich oft.
(私は冬によく風邪を引く。)
命令法
対話する相手への要求を表す文です。
Lassen Sie mich allein.
(一人にしてください。)
接続法
話者の頭の中の世界を表す文で、接続法1式 と 接続法2式 があります。
用法 | 機能 | 法 |
要求話法 | 要求・願望 | 接続法1式 |
間接話法 | 他者の発話内容の再現 | 接続法1・2式 |
不一致の許容 | 仮定と帰結の不一致を許容 | 接続法1・2式 |
非現実話法 | 非現実・潜在的可能性 | 接続法2式 |
Er sagte, er habe Klaustrophobie.
(彼は自分を閉所恐怖症だと言った。→ 接続法1式 間接話法)
Wenn ich Zeit hätte, ginge ich ins Konzert.
(時間があれば、コンサートに行くのに。→ 接続法2式 非現実話法)
sein の人称変化
まずは、英語の be 動詞に相当する sein から学習していきましょう。
sein の役割は、大きく分けて以下の3つに分かれます。
・動詞:英語の is や are、was などと同様に、動詞(存在詞)として「〜である」「存在する」を表す
・完了の助動詞:動詞の過去分詞とともに完了形をつくる
・所有冠詞:3人称の人称代名詞に対応する「彼の」と、男性名詞や中性名詞を受けて「それの」として用いられる
sein の基本的な人称変化(直説法)
sein の人称変化は、ドイツ語の例文を読んでいくうちにだんだん慣れてきますので、
迷ったらこの表で確認する、という使い方で十分です。
助動詞 | sein 支配 |
1人称 | bin |
親称 du | bist |
er / sie / es | ist |
複数形 | sind |
2人称複数 ihr | seid |
親称 du 過去形 | warst |
過去形 | war |
ihr 過去形 | wart |
過去形複数 | waren |
過去分詞 | gewesen |
sein を使った例文
Klaus ist ein netter Mensch.
(クラウスは優しい人です。→ 動詞)
Bis wann ist die Fahrkarte gültig?
(この乗車券はいつまで有効ですか? → 動詞)
Wir sind in den Bergen viel gelaufen.
(私たちは山の中をたくさん歩いた。→ 完了の助動詞)
Alle Hosen sind mir locker geworden.
(ズボンが全て緩くなってしまった。→ 完了の助動詞)
Sein Auto steht in der Garage.
(彼の車はガレージにある。→ 所有冠詞)
人称代名詞の格変化
3人称の人称代名詞は、人を表す以外に名詞の代用としても用いられます。つまり、男性名詞には er を、女性名詞には sie 、中性名詞には es といった具合です。
こちらの表も、さきほどの sein の人称変化と同様に、さらっと目を通すだけで大丈夫です。
1格 | 3格 | 4格 |
ich | mir | mich |
du | dir | dich |
Sie | Ihnen | Sie |
er | ihm | ihn |
sie (単数) | ihr | sie |
wir | uns | uns |
sie (複数) | ihnen | sie |
ihr (親称複数) | euch | euch |
es | ihm | es |
今回は、ドイツ語の「格」と「法」についてご説明しました。
続いては、ドイツ語の「枠構造」と「平叙文」について学習していきましょう。