【werden と sein/受動態の基本 編】ドイツ語トレーニング

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ドイツ語での「受け身」文のつくり方の基本、時制、そして werdensein の違いを、例文とともに学習していきましょう。

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目次

受動態とは

「受動態」とは、「(人・物などが、〜によって) 〜される」という受け身を意味する動詞の態のひとつで、主語が他のものから何かしらの作用を受けることを表す文法用語です。

皆さんも英語においてご存知の、「be + 過去分詞」に相当します。

・能動態:Ich esse den Kuchen.(私はケーキを食べる。)
・受動態:Der Kuchen wird gegessen.(ケーキは食べられる。)

ドイツ語の日常会話において受動態が用いられることはあまりありませんが、ドイツ語をマスターするうえではやはり知っておく必要があります。

受動態のつくり方

受動態を使った文章のつくり方を見ていきましょう。

ドイツ語の受動態には、「動作受動」と「状態受動」の2種類があります。

・動作受動(werden過去分詞):動作の途中に焦点が当てられている

・状態受動(sein過去分詞):動作が行われた状態や結果に焦点が当てられている

平叙文

平叙文では、受動の助動詞は2番目、そして過去分詞は文末に置かれます。

主語 + 助動詞 + 目的語や副詞など + 過去分詞

Die Sendung wird nächsten Freitag wiederholt.
(そのテレビ番組は次の金曜日に再放送される。)

Dieses Tor ist fest geschlossen.
(この門は固く閉じられている。)

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話法の助動詞

受動態が話法の助動詞とともに用いられる場合は、平叙文では話法の助動詞が第2位になり、文末は「過去分詞 + werden」のかたちになります。

話法の助動詞による受動態は、そのまま日本語に訳すと不自然になる場合がありますので、状況によって工夫すると良いでしょう。

主語 + 話法の助動詞 + 目的語や副詞など + 過去分詞 + 助動詞

Das Kleid muss kürzer gemacht werden.
Das Kleid muss gekürzt werden.
(そのドレスは短くする必要がある。)

Das Land konnte durch den Nebel wahrgenommen werden.
(霧の間から地面を見分けることが出来た。)

werden の人称変化

werden の基本の活用形は以下の通りです。

助動詞sein 支配
1人称werde
親称wirst
3人称wird
複数形werden
2人称複数 ihrwerdet
親称過去形wurdest
過去形wurde
ihr 過去形wurdet
過去形複数wurden
過去分詞geworden / worden

sein の人称変化

sein の基本の活用形は以下の通りです。

助動詞sein 支配
1人称bin
親称bist
3人称ist
複数形sind
2人称複数 ihrseid
親称 du 過去形warst
過去形war
ihr 過去形wart
過去形複数waren
過去分詞gewesen

受動態の時制

完了時制の場合は、受動の助動詞 werden の過去分詞が geworden ではなく worden になることに注意してください。

これは、直前に本動詞の過去分詞が来ることにより、これとアクセントの位置が同じ geworden が続くのを避けるためです。

・動作受動(werden過去分詞):動作の途中に焦点が当てられている

・状態受動(sein過去分詞):動作が行われた状態や結果に焦点が当てられている

動作受動

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
現在形werde過去分詞
過去形wurde過去分詞
未来形werde過去分詞 + werden
現在完了sein過去分詞 + worden
過去完了war過去分詞 + worden
未来完了werde過去分詞 + worden + sein

状態受動

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
現在形sein過去分詞
過去形war過去分詞
未来形wird過去分詞 + sein
現在完了sein過去分詞 + gewesen
過去完了war過去分詞 + gewesen
未来完了wird過去分詞 + gewesen + sein

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現在形

現在形は、文字通り現在起こっていることや状態、習慣的なことなどについて述べる時制です。

先ほど述べましたが、受動態には「動作受動」と「状態受動」があります。

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
現在形werde (動作受動)
isn (状態受動)
過去分詞

Das Fenster ist schön geputzt.
(窓は綺麗に磨かれている。)

Ist das Museum heute geöffnet?
(今日は博物館は開いていますか?)

In diesem Laden wird Alkohol nicht verkauft.
(このお店ではアルコールは販売されていない。)

Ich werde oft für eine Ausländerin gehalten.
(私はよく外国人だと思われます。)

Die Eintrittskarten werden in der Reihenfolge der Antragstellung zugeteilt.
(チケットはお申込み順に割り当てられます。)

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POINT

・jdn./etw. für jdn./etw. halten:(人や物を)〜と見なす
・die Reihenfolge:順番、順序
・die Eintrittskarte:チケット、入場券
・die Antragstellung:申し込み、応募
・zuteilen:割り当てる、配分する

過去形

過去のある時点について述べるときに使います。話し手が頭の中で過去のことを思い出しながら語るときに用いられますが、現在もその状態が続いているとは限りません。

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
過去形wurde (動作受動)
war (状態受動)
過去分詞

Sie wurden nicht vor der Flutwelle gewarnt.
(彼らは津波の危険について知らされていなかった。)

Über Einzelheiten des Vertrags wurde nicht gesprochen.
(契約の詳細については議論されなかった。)

Nach den Betriebsferien wurden die Maschinen wieder in Betrieb gesetzt.
(会社の休暇のあと、機械はまた通常運転に戻りました。)

Im Krieg wurde Dresden fast völlig zerstört, aber man hat die Häuser wieder im alten Stil aufgebaut.
(ドレスデンは戦争でほぼ完全に破壊されましたが、建物は昔の姿に再建されました。)

Die Tür war fest geschlossen.
(ドアは閉められていた。)

関連記事:【nach】ドイツ語の前置詞を徹底攻略

POINT

・die Flutwelle:津波
・warnen:(悪い事態を招かないように、人に) 警告する、注意する
・die Einzelheit:詳細、細部
・der Vertrag:契約、契約書
・in Betrieb sein:(機械などが)運転中である
・fast:殆ど、ほぼ、もう少しで
・zerstören:(建物・自然などを) 破壊する、(人の人生や希望を) 台無しにする
・aufbauen:組み上げる、構築する、設営する

未来形

未来における行為や現象、状態などを表現します。

※ 助動詞は主語によって人称変化します。

助動詞定動詞
未来形werde (動作受動)
wird (状態受動)
過去分詞werden
過去分詞sein

Die Ausstattung des Appartements wird Ihren Ansprüchen sicherlich gerecht werden.
(アパートの設備はあなたの要件を確実に満たすでしょう。)

関連記事:【所有冠詞と格変化】ドイツ語トレーニング

POINT

・die Ausstattung:設備、飾り付け
・der Anspruch:要求、(要求する) 権利、主張
・gerecht:〜に適した、〜の要求にかなった

現在完了

過去のある時点の出来事が、現在とつながりがあるときに使います。

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
現在完了ist過去分詞worden

Er ist nach Berlin versetzt worden.
(彼はベルリンへ転勤させられた。)

Der Reis ist automatisch gekocht worden.
(お米は自動的に調理されました。)

Sie ist ziemlich viel Geld gestohlen worden.
(彼女はかなりたくさんのお金を盗まれた。)

Die Möbel sind beim Umzug beschädigt worden.
(引越しの際に家具が破損した。)

◆ 話法の助動詞とともに使われる場合は、受動の助動詞が文末に移動します。

Dieses Auto muss ziemlich strapaziert worden sein.
(この車はかなり乱暴な扱いをされてきたに違いない。)

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POINT

・jdn. versetzen:転任させる、転勤させる
・die Möbel (集合名詞):家具、調度品
・beschädigen:損傷させる、ダメージを与える
・strapaziert:strapazieren の過去分詞形

過去完了形

過去の一時点から見て、それ以前に行われた動作や状態などがその時点まで続いていたこと、またはその動作や状態がその時点ですでに完了していることを表現します。

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
過去完了war過去分詞worden
過去分詞gewesen

Seine Geisteskrankheit war behandelt worden.
(彼の精神病は治療されていた。)

Als sie die Stadt besuchen wollte, war sie gerade durch ein Erdbeben zerstört worden.
(彼女がその街を訪れようと思っていた矢先、地震によってその街は破壊されてしまった。)

Er wäre um ein Haar überfahren worden.
(彼は危うく車に轢かれるところだった。※ 接続法2式 の用法)

Die Nachricht, dass er erschossen worden war, überraschte sie.
(彼が撃たれたという知らせは彼らを驚かせた。)

関連記事:【接続法2式を徹底攻略】ドイツ語トレーニング

POINT

・behandeln:治療する、扱う
・um ein Haar:危機一髪の
・überfahren:轢く、(運転者が見落としたりして)走って通過する
・zerstören:破壊する、壊す、滅ぼす
・die Nachricht:知らせ、ニュース
・jdn. erschießen:射殺する
・überraschen:驚かす、不意をつく、急に割って入る

未来完了形

現在から見て、未来のある時点で行為や動作などが完了していることを表現します。

現代ドイツ語では、未来完了形は冗長になるため現在完了形が用いられることが多いです。

※ 助動詞は主語によって人称変化します

助動詞定動詞
未来完了werde
wird
過去分詞worden sein
過去分詞gewesen sein

Die neue Brücke wird bis April fertiggestellt worden sein.
(新しい橋は3月までには完成しているだろう。)

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POINT

・etw. fertigstellen:〜を完成させる、完遂する


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