【接続法1式を徹底攻略】ドイツ語トレーニング

ドイツ語などのインド・ヨーロッパ言語においてよく耳にする「接続法」。
この接続法は、要求可能性願望後悔など、実現を願われることや主観的に考えられることなどを述べるときの「法」で、英語の「仮定法現在」にあたります。

今回は、間接話法や要求話法に代表される「接続法1式」について、例文とともに解説していきます。

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目次

接続法1式とは

私たちが人と話をしたり何かを書いたりするとき、常に現実のことだけに言及しているわけではありません。
例えば、実現することを願って「〜していただけませんか」と言ったり、「〜らしいよ」と人から聞いた話をしたり、「〜だったらいいなぁ」と非現実的なことを考えたり、その表現方法は様々です。

このような、話し手による「発話内容の伝え方」に関する動詞の活用体系は「」と呼ばれ、ドイツ語の法には「直説法」「命令法」「接続法」の3つがあります。

・直説法:要求や非現実などの特別な意味を加えない文
・命令法:対話する相手への要求を表す文
・接続法:話者の頭の中の世界を表す文

接続法は、事実ではないという話者の認知や、話者の考えなどの主観的判断を表す法のことで、基本的には「〜ということ」の dass の機能が含まれています。

  • 直説法:Es schmeckt sehr gut.(とても美味しいです。)
  • 命令法:Komm schon!(早く来なさい。)
  • 接続法:Er sagte, er lerne Deutsch.(彼はドイツ語を習っていると言っていた。)

そして「接続法1式」とは、ドイツ語に2つある接続法のうちの1つで、大きく分けて「間接話法」「要求話法」「不一致の許容」の3つがあります。こちらについてはのちほど詳しくご説明します。

用法機能
要求話法要求・願望接続法1式
間接話法他者の発話内容の再現接続法1・2式
不一致の許容仮定と帰結の不一致を許容接続法1・2式
非現実話法非現実・潜在的可能性接続法2式

人称変化

接続法1式の文は、動詞を以下の規則に従って変化させることによって表現します。

基本のつくり方

動詞の語幹 e 過去人称変化語尾」でつくります。
現在人称変化において幹母音が変化するタイプの動詞でも、変化させないことがポイントです。

ここでは、habensprechen を例にしています。

原形habensprechen
ichhabespreche
duhabestsprechest
er/sie/eshabespreche
wirhabensprechen
ihrhabetsprechet
sie/Siehabensprechen

können と mögen の接続法1式

現在形の活用が不規則であっても、接続法1式では規則的に変化していることが分かります。

原形könnenmögen
ichkönnemöge
dukönnestmögest
er/sie/eskönnemöge
wirkönnenmögen
ihrkönnetmöget
sie/Siekönnenmögen

sein と werden の接続法1式

sein だけは不規則な変化をしますので注意しましょう。

原形seinwerden
ichseiwerde
dusei(e)stwerdest
er/sie/esseiwerde
wirseienwerden
ihrseietwerdet
sie/Sieseienwerden

sollen の接続法1式

原形sollen
ichsolle
dusollest
er/sie/essolle
wirsollen
ihrsollet
sie/Siesollen

接続法1式の時制

接続法には直説法のような時制がなく、基準となる時点よりも「前」か「同じ」か「後」の3種類しかありません。過去形や未来形は、事実を述べる直説法の世界の話で、接続法はいわば話者の「頭の中の世界」を表しているため、時制の管轄外なのです。

・彼は熱があると言っている
・彼は熱があると言っていた

「熱がある」のがいつの時点なのかは主文次第ということになり、時制の一致をもたないドイツ語の「相対時制」の性質は日本語と同じです。

直説法との比較

Er sagte: „Ich habe Fieber“
(彼は「熱がある」と言った。)

Er sagte, er habe Fieber.

Er sagte: „Ich hatte Fieber.“
(彼は「熱があった」と言った。)

Er sagte, er habe Fieber gehabt.

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POINT

接続法では、発言内容が過去である場合は接続法自体を完了形にすることで対応します。

間接話法

間接話法は、「これは誰かが言ったことで私の意見ではない、本当かどうかも保証しない」というニュアンスが含まれており、話者は中立の立場をとっていることを表しています。

重要なのは、話者が「本当だ」「その通りだ」と思っているのであれば、接続法を用いる必要はない ということです。

Sie sagte ihm, er solle lernen.
(彼女は彼に勉強するように言った。)

Er sagt, er wohne schon lange hier.
(彼はもう長いことここに住んでいる、と言っている。)

Das Kind behauptet, es habe ein UFO gesehen.
(その子供はUFOを見たことがあると言い張っている。)

Er sagte, wenn er Zeit habe, komme er zu dir.
(彼は、時間があったら君のところへ行くよ、と言った。)

Sie sagte, wenn sie morgen wieder zuhause sei, werde sie sich erst mal ausschlafen.
(彼女は、明日帰ったらまず少し寝ると言った。)

Paul fragte, ob ich nähen könne.
(ポールは、私にお裁縫が出来るかどうか聞いてきた。)

Im Fernsehen haben sie gesagt, vor einer Stunde sei auf der Autobahn ein Lkw mit Benzin umgestürzt.
(テレビで、1時間前に高速道路でガソリンを積んだトラックが横転したと言っていたよ。)

◆ 接続法1式が現在形の同形の場合は、接続法2式 で表します。

Sie sagten, sie haben einen Plan.

→ Sie sagten, sie hätten einen Plan.

POINT

・現在形と異なり、接続法では原形から「-n」を外します。接続法1式の3人称単数は、1人称単数と同じになります。
・morgen などの副詞は、発話の日と言及している発言があった日が別の場合は、am nächsten Tag(翌日)などに変えるのを忘れないようにしましょう。

dass を使う場合

接続法にはすでに dass の機能が含まれているため dass を用いる必要はありませんが、加えるときは副文の定動詞が文末に置かれることに注意しましょう。

Sie eröffnete ihm, dass sie schwanger sei.
(彼女は彼に妊娠していると打ち明けた。)

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POINT

・eröffnen:打ち明ける
・schwanger sein:妊娠している

要求話法

話者が「これから起こるのが望ましい」こととして語るのが、接続法1式の要求話法です。

現代ドイツ語では、要求話法の代わりに話法の助動詞 mögensollen などを用いることが多いためかなり古風な表現とされていますが、上品になる場合もあります。

決まり文句

Gott schütze dich.
(神様が君を守ってくれますように。)

Gott sei Dank!
(あぁ、助かった。→ 英語の Thank God!

Möge es vorbei sein!
(早く終わりますように。)

Möge das Spiel beginnen!
(ゲーム開始!)

理想的な姿を表す

Jeder Mensch tue das Rechte.
(一人一人が、正しいことを行うのが良い。)

論文や問題文など

Man beachte die Ironie zwischen den Zeilen.
(行間の反語を考慮すること。)

Der Mittelpunkt der Linie AB sei M.
(直線ABの中心をMとする。)

Man berechne den Durchschnitt der Besucherzahlen.
(訪問者数の平均値を算出すること。)

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取扱説明書やお料理の手順など

Man nehme dreimal pro Tag eine Tablette.
(1日3回、1錠を服用すること。)

Man gebe etwas Zucker dazu.
(お砂糖を少し加えます。)

wirSie に対する要求・命令

文は定動詞から開始します(Bitte の場合もあります)。これは、sein 以外は直説法と同じ活用形になっているため、平叙文との区別をつけるために語順を変化させているのです。

Gehen wir ins Restaurant.
(レストランに行こう。)

Sprechen Sie bitte langsamer.
(もう少しゆっくり話してください。)

Seien Sie vorsichtig, das Messer ist sehr scharf.
(ナイフがとても鋭いのでお気をつけください。)

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POINT

・du や ihr に対する命令文と異なり、wir または Sie に対する命令文で主語が入るのは、これは正式な命令形ではなく接続法1式だからです。
・sein とのきだけ Seien になることに注意しましょう。

不一致の許容

仮定と帰結が完全に一致しないことを許容する表現です。以下の2つを覚えておきましょう。

sei es A, sei es B

◆ 意味:A であろうと B であろうと

Sei es heute, sei es morgen, müssen wir es doch tun.
(今日であろうと明日であろうと、私たちはとにかくそれをしなければならない。)

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es sei denn, dass. . .

◆ 意味:〜の場合を除いて、〜ならば話は別だが

Er kommt, es sei denn, es käme ihn etwas dazwischen.
(何か都合が悪くならない限り、彼は来るよ。)

Alter ist irrelevant, es sei denn, du bist eine Flasche Wein.
(年齢な重要ではない。あなたが1本のワインでなければ。- 作家:ジョーン・コリンズ)

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接続法1式と疑問詞

無関心の推量」と呼ばれる用法です。auch は省略されることがあります。

Was er auch sage, ich glaube ihm nicht.
(彼が何を言おうと、私は彼を信用しない。)

Sei es, wie es wolle, ich werde nicht teilnehmen.
(例えそれがどうであっても、私は参加しない。)

Wie dem auch sei, du liegst falsch.
(いずれにしても君が間違っている。)

Wer auch komme, ich bin nicht zu Hause.
(誰が来ても、居留守を使う。)

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POINT

・teilnehmen:参加する、関与する
・falschliegen:間違っている、思い違いをしている

練習問題

次の文章を、接続法1式を用いて書き換えてください。「解答」をクリックしますと、答えを表示できます。

1. Das Mädchen bat seine Mutter: „Gib mir bitte den Kuchen!“

2. Er fragte mich: „Geht es dir gut?“

3. Sie meinte: „Ich bin stolz auf dich.“

4. Jack klagt: „Ich kann nicht gut schlafen.“

解答

1. Das Mädchen bat seine Mutter, sie möge ihm den Kuchen geben.(その少女は、母親にそのケーキをねだった。)
2. Er fragte mich, ob es mir gut gehe.(彼は私に調子はどうかと尋ねた。)
3. Sie meinte, sie sei stolz auf mich.(彼女は私を誇りに思っていると言っていた。)
4. Jack klagt, er könne nicht gut schlafen.(ジャックはよく眠れないと嘆いている。)

POINT

・auf jdn./etw. stolz sein:〜を誇りに思っている
・klagen:嘆く、悲しむ、愚痴をこぼす

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