【müssen と sollen の違い】ドイツ語トレーニング

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ドイツ語の話法の助動詞には、mögenwollenkönnendürfen、müssen、sollen の6つがあります。
英語と異なり、ドイツ語では1つの文章の中に複数の話法の助動詞を使うことができます。

今回は、müssensollen の違いと基本の使い方、そして接続法2式の用法などを、例文とともにご紹介していきます。

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目次

müssen

müssen は、皆さんもご存知のように「〜しなければならない」「せざるを得ない」「〜するしかない」という必要性必然の表現と、「〜に違いない」という推量などで使われるのが一般的ですが、「ぜひ〜してください」という丁寧な勧誘を表現することもできます。

また、必要性の意味で使った場合、müssensollen よりも強制力が強いということも覚えておきましょう。

müssen の基本の活用形

助動詞haben 支配
1人称muss
親称 dumusst
er / sie / esmuss
2人称複数 ihrmüsst
親称 du 過去形musstest
過去形musste
ihr 過去形musstet
過去形複数mussten
過去分詞gemusst

必要性・必然

「〜する必要がある」「〜せざるを得ない」という意味の表現です。
「外的・内的な必要性」のほか、「話者や第三者の命令や要求」、「〜しないと気が済まない」などがあります。

Ich muss noch acht Minuten warten, bis der nächste Zug ankommt.
(次の電車が来るまであと8分待たなければならない。)

Mit 6 Jahren müssen alle Kinder zur Schule gehen.
(6歳の子供は皆学校に行かなければならない。)

Er musste sofort ins Büro gehen, weil sein Chef wartete.
(上司が待っていたので、彼はすぐに会社に行かなければならなかった。)

Ich muss auf die Toilette (gehen).
(お手洗いに行かないといけない。)

Es muss doch Frühling werden.
(いずれ春が訪れる。)

Als wir es sahen, mussten wir alle lachen.
(私たちがそれを見たとき、全員が思わず笑ってしまった。→ 笑わざるを得なかった)

Es tut mir leid, Sie stören zu müssen.
(お邪魔してしまって恐縮です。)

Er hat gemusst, ob er wollte oder nicht.
(彼が望もうと望むまいと、彼はしなければならなかった。)

Heute muss ich Überstunden machen.
(私は今日残業しなければならない。)

Sie muss immer alles selbst machen.
(彼女は何でも自分でしないと気が済まない性格だ。)

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POINT

・ankommen:到着する
・ob A oder B:AであろうとBであろうと
・Überstunden machen:残業する
・stören:邪魔する (英語の interrupt, disturb など)

残念な気持ち

使い方によっては、「本当はしたくないけれど、状況がそれを許さない」という表現が可能になります。

Ich muss langsam gehen.
(そろそろおいとましなければなりません。→ こういう場面で will を使いますと、「帰りたい」という主張になってしまい失礼にあたりますので注意してください)

Wir bedauern, Ihnen mitteilen zu müssen, dass die Stelle bereits besetzt ist.
(残念ですが、既にポジションが埋まっていることをお伝えしなければなりません。)

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POINT

・bedauern:残念に思う、済まないと思う
・mitteilen:知らせる、打ち明ける
・die Stelle:場所、状況、(職の) ポスト
・・besetzen:❶占める、ふさぐ ❷(国・都市・建物などを) 占領・占拠する ❸(職・役割などを) 割り振る

推量・確信

müssen は「〜に違いない」という推量確信も表現出来ます。話者の確信度がかなり高い場合に用いられます。

Sie muss einst eine Schönheit gewesen sein.
(彼は昔美人だったに違いない。)

Ihr muss unterwegs etwas zugestoßen sein.
(来る途中で彼女の身に何か起こったに違いない。)

Der Zug muss über die Grenze gefahren sein.
(電車は国境を越えたに違いない。)

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POINT

・einst:(文語) かつて、以前
・unterwegs:(どこかへ行く・来る) 途中で、旅行中で
・jdm. zustoßen:人の身に何かが起こる、(災難などが) 降りかかる

否定の表現

müssen が英語の must を連想させるため、ドイツ語の勉強を始めたばかりの方は、müssen が否定語と一緒に使われていた場合は禁止の表現だと思われてしまうことがありますが、英語の don’t have to と同様に「〜する必要はない」の意味になりますので注意してください。

例文を見てみましょう。

Sie müssen in München nicht umsteigen.
(ミュンヘンで乗り換える必要はありません。)

Ihr müsst mir nicht helfen, ich bin gleich fertig.
(手伝わなくても大丈夫ですよ。すぐに終わりますから。)

※「〜してはいけない」と言いたいときに使われるのは「許可」を表す dürfen で、keinnicht とともに用いられます。

Man darf hier kein Wasser trinken. Sonst bekommt man danach Bauchschmerzen.
(ここでお水を飲んではいけません。そんなことをしたらお腹を壊します。)

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POINT

müssen が否定語とともに用いられると、「〜しなくても良い」「〜する必要はない」の意味になります。

接続法2式の用法

müssen接続法2式 で用いると、「ぜひ〜してください」という勧誘や、「〜であって欲しいものだ」という叶わない願望を表現することができます。

勧誘の表現は直説法でも用いられますが、接続法2式ですとより丁寧な言い回しになります。

müssen の接続法2式の基本の活用形

1人称müsste
親称 dumüsstest
er / sie / esmüsste
1人称複数 (wir)müssten
2人称複数 (ihr)müsstest
3人称複数 (sie)müssten

勧誘

Sie müssen diesen Kuchen unbedingt einmal probieren.
(是非一度このケーキをご賞味ください。→ 直説法)

Sie müssten es doch noch einmal versuchen.
(是非もう一度お試しください。→ 接続法2式)

. . . 日本語訳ですとあまり変わりませんが、実際には丁寧に伝わります。

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叶わない願望

Man müsste noch mal zwanzig sein.
(もう一度20歳になりたいものだ。)

sollen

sollen は、「〜しなければならない」「するべきだ」という指示・要請のほかに、「〜だそうだ」「本当に〜なのだろうか」など、様々な表現があります。

POINT

特に気をつけなければならないのが「指示・要請」の表現で、第三者、道徳、規定などから求められている場合に用いられます。
簡単に言いますと、第三者が主語に対して「こうあるべきだ」と述べていることになります。

müssen が 英語の have to としますと、sollenshould dowould do のような感じで、müssen よりも強制力が低いです。

sollen の基本の活用形

助動詞haben 支配
1人称soll
親称 dusollst
er / sie / essoll
2人称複数 ihrsollt
親称 du 過去形solltest
過去形sollte
ihr 過去形solltet
過去形複数sollten
過去分詞gesollt

例文を見てみましょう。

指示・要請

Ich soll dreimal täglich eine Tablette nehmen.
(私は1日3回薬を1錠飲むように言われている。→ 医師の指示)

Sag Emily bitte, dass sie morgen um 9 Uhr ins Büro kommen soll.
(エミリーに、明日の9時にオフィスに来るように伝えて。→ 第三者の要請)

Deine Mutter hat angerufen. Du sollst ihr zurückrufen.
(君のお母さんから電話があったよ。かけ直してくれって言ってたよ。→ 第三者の要請)

Ich soll Sie von ihm grüßen.
(彼があなたに宜しくお伝えくださいと言っていました。→ 第三者の要請)

Man soll Rücksicht auf andere Menschen nehmen.
(他者には親切にしなければならない。→ 道徳)

Die Kommission soll bis anfangs September Vorschläge ausarbeiten.
(委員会は9月初めまでに提案を仕上げるように求められている。→ 規定)

Wie oft soll ich dir das noch sagen?
(何回同じことを言わせるの?)

Wer daran teilnehmen will, soll zu mir kommen.
(それに参加したい人は、私のところへ来てください。)

Ich warf ihm einen Blick zu als Zeichen, dass er aus dem Zimmer gehen sollte.
(私は彼に、部屋から出るように目で合図をした。)

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POINT

・英語の take と同様に、お薬を飲む時は trinken ではなく nehmen を使います。
・täglich:【形容詞】毎日の、日々の /【副詞】毎日、日ごとに
・zurückrufen:折り返し電話をする
・auf jdn. Rücksicht nehmen:人を気遣う、思いやる
・der Vorschlag:提案、提言
・an etw3(Dat.) teilnehmen:〜に参加する、出席する
・jdm. einen Blick zuwerfen:人にさっと視線を向ける
・das Zeichen:合図、記号、(印としての)絵

話者以外に対しての願望

上記の「要請」のニュアンスを利用して、「〜してもらいたい」「〜であって欲しい」という願望を表すこともできます。

Sie sollen mich in Ruhe lassen.
(私のことは放っておいてもらいたいです。)

Es soll ihm nützen.
(それが彼の役に立つことを願います。)

Du sollst es dir hier bequem machen.
(ゆっくりくつろいでね。)

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POINT

・nützen:【自動詞】役に立つ /【他動詞】利用する
(地域差はあるものの、「利用する」の意味では nutzen、「役に立つ」の意味では nützen が用いられる傾向があります)
・es sich(Dat.) bequem machen:くつろぐ、まったりする

意志・意図

相手の意志・希望などを確認するときの表現です。主に疑問文で用いられます。

Soll ich Ihnen ein Taxi rufen?
(タクシーを呼びましょうか。)

Wann soll ich kommen?
(いつ伺えばよろしいですか?)

Was möchtest du als Beilage zum Schweinebraten? Soll ich die Kartoffeln kochen?
(ローストポークの付け合わせは何がいい? じゃがいもを茹でようか?)

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伝聞

sollen を使って、「〜だそうだ」という誰かから聞いたことを表現することができます。
普段の会話で、特に話の発信元を言及する必要なく「〜らしいよ」と言うのは日本語でも同じですね。

Morgen soll es regnen.
(明日は雨が降るらしい。)

Es soll im Sommer in Japan heiß und schwül sein.
(日本の夏は蒸し暑いらしいですね。)

Sie soll einen Franzosen geheiratet haben.
(彼女はフランス人と結婚したそうだ。)

Neulich soll neben der Post ein neues japanisches Restaurant aufgemacht hat.
(最近、郵便局の隣りに新しい日本食レストランがオープンしたらしいよ。)

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POINT

・schwül:蒸し暑い
・aufmachen:(ドアや窓などを) 開ける、(お店などを) 開く

接続法2式の用法

sollen を接続法2式で用いた場合の用法には様々な表現があり、「叶わない願望」、「推奨・忠告」、英語の wonder のような「〜だろうか」や、「万が一〜の場合には」などがあります。

sollen の接続法2式の基本の活用形

1人称sollte
親称 dusolltest
er / sie / essollte
1人称複数 (wir)sollten
2人称複数 (ihr)solltet
3人称複数 (sie)sollten

例文を見てみましょう。

叶わない願望

「本来ならば〜するはずなのに」という、話者のもどかしさや残念がる気持ちを表します。

例文の sollen の位置に注意してください。

Er hätte noch vorsichtiger sein sollen.
(彼はもっと慎重であるべきだったのに。)

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推奨・忠告

「〜する方が良い」という、実現していない理想を表す表現です。

Das sollte man nicht tun.
(そんなことはすべきではありません。)

Du solltest heute früher ins Bett gehen.
(今日は早く寝た方がいいよ。)

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POINT

・ins Bett gehen:寝る、床に就く

〜だろうか

話者の心の中で確信できない事柄を表現する用法です。直説法でも表現できます。

Wie soll das enden?
(結末はどうなるのだろう。→ 直説法)

Sollte es möglich sein?
(そんなことがあり得るだろうか。)

Sollte das seine Absicht sein?
(本当にそれは彼の意志なのだろうか。)

Sollte sie das tatsächlich gesagt haben?
(彼女が本当にそんなことを言ったのだろうか。)

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POINT

・enden:【自動詞】終わる、終了する /【他動詞】終える、終わらせる
・die Absicht:意図、目的

万が一〜の場合には

仮定を表す接続詞 wenn のみでも表現できますが、sollten を使うことにより仮定の意味が強まります。

Wenn Sie ihn sehen sollten, grüßen Sie ihn bitte von mir.
(彼に会うことがあったら私が宜しく言っていたとお伝えください。)

Sollte es morgen regnen, dann bleibe ich zu Hause.
(もしも明日雨が降るようであれば、私は家にいます。)

関連記事:【von】ドイツ語の前置詞を徹底攻略

POINT

・grüßen:挨拶する (英語の greet)
・bleiben:(同じ場所に) 留まる、居る、残る、滞在する


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