【an】ドイツ語の前置詞を徹底攻略

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今回は、ドイツ語の前置詞「an」の使い方を、例文とともに学習していきましょう。

ご興味のある方は、当サイトで ドイツ語クイズ(5000問) を出題しておりますので是非ご覧ください。

目次

an の基本概念

an は基本的に「接触」を表し、「外面に向かって加えられる動作や思考の対象」のイメージを持っており、それによって「何かが始まる」ことを暗示しています。

意味によって 3格(Dat.) または 4格(Akk.) をとりますので注意が必要です。

<前置詞 an の基本>

・「接触」という概念をもつ
・人や物の「位置・状態 が続いている」ときは 3格
・人や物が、「動作によって移動している」ときは 4格

3格

人が物が接している 位置・状態 が続いている場合には 3格 (Dat.) が使われます。
男性・中性名詞の定冠詞の場合は、an dem が短縮されて「am」になることが多いです。

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〜に接して

Sie trägt eine Brosche an der Brust.
(彼女は胸元にブローチを着けている。)

Wo möchten Sie sitzen, am Gang oder am Fenster?
(通路側と窓側どちらが宜しいですか?→ 飛行機の予約で)

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〜のそばに

窓辺や川沿いなども、an で表現できます。

Kennst du das Mädchen, das am Fenster steht?
(窓辺に立っている少女を知ってる?)

Ein schönes Café direkt am Main gelegen.
(マイン川沿いにある素敵なカフェです。)

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POINT

・kennen:(人・物・事を以前に知る機会があって、経験として)知っている
・gelegen:〜にある (liegen の過去分詞の形容詞用法)

〜をたよりに

an は、「その外面に向かって、ある程度の作用が加えられている」状態を表すため、「〜をたよりに」のイメージが成り立ちます。

Er läuft an Krücken.
(彼は松葉杖をついて歩いている。)

Ich erkenne ihn an der Stimme.
(声で彼だと分かった。)

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POINT

・die Krücken:松葉杖
・jdn./etw. an etw3(Dat.) erkennen:〜によって〜を認識する

〜に関して

「〜については」「〜の点で」も、an を使って表現できます。

Das Land ist reich an Bodenschätzen.
(その国は天然資源が豊富だ。)

Er ist noch jung an Jahren, aber reich an Erfahrungen.
(彼は年齢は若いが経験は豊かだ。)

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POINT

・der Bodenschatz:天然資源
・die Erfahrung:経験、体験、経験による知識

従事して

「接触」から転じて「〜しているところ」を表現します。

Ich bin gerade am Aufräumen.
(私は今ちょうどお片付けをしているところです。)

Die Suppe ist am Kochen.
(スープが火にかけてある。)

Er schreibt an einem Theaterstück.
(彼は脚本を書いている。)

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POINT

・gerade:今ちょうど、たった今
・das Aufräumen:片付け、掃除
・das Theaterstück:脚本、演劇、戯曲

時点 〜に

英語の at と同様に、時間的な点においても an が使われます。

Er lernt zwei Stunden am Tag.
(彼は1日2時間勉強している。

Am Wochenende möchte ich einen Ausflug nach München machen.
(週末にミュンヘンへ旅行したいです。)

Am Ende der Ferien sind wir mit den Kindern an die Ostsee gefahren.
(休暇の終わりに、我々は子供たちと一緒にバルト海に行きました。)

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POINT

・die Ausflug:小旅行、ちょっとした外出
・eine Ausflug machen:旅行する、遠足に行く

場所 〜で

Bitte bezahlen Sie an der Kasse.
(レジでお支払いをお願いいたします。)

Ich studiere an der Universität Heidelberg.
(私はハイデルベルク大学で学んでいます。)

Am Bahnhof gibt es eine Imbissstube, die sehr gute Pizza macht.
(駅にはピザの美味しいカフェがある。)

Bereits gekaufte Karten können an der Theaterkasse zurückgegeben werden.
(既に購入済みのチケットは、入場券売り場で払い戻しができます。)

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POINT

・bezahlen:支払いをする
・die Imbissstube:カフェ、ちょっとした軽食のお店
・die Theaterkasse:(映画館や劇場などの) 入場券売り場
・zurückgeben:返す、返却する、払い戻しをする

原因 〜によって

Das liegt nicht an mir.
(それは私のせいではない。)

Er trägt die Schuld an dem Misserfolg, Fehler zu melden.
(彼はバグを報告しなかった責任がある。)

POINT

・die Schuld an/für etw. tragen:〜の責任がある
・der Misserfolg:失敗
・(jdm.) etw. melden:(人に) 〜を知らせる、通知する

4格

人や物が、動作によって移動しているときには 4格 (Akk.) が用いられます。

〜へ(向かって)

Er lehnte sich an die Wand.
(彼は壁に寄りかかった。)

Das Kind wirft den Ball an die Mauer.
(子供がボールを壁に投げつけている。)

Er hat ein Foto von Maria an die Wand gehängt.
(彼はマリアの写真を壁に掛けた。)

Er lehnte die Leiter an den Baum.
(彼は木にハシゴを立てかけた。)

Er wird an eine andere Schule versetzt.
(彼は別の学校へ転勤させられる。)

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POINT

・sich an etw. lehnen:〜に寄りかかる
・die Mauer:(石・れんが・コンクリートなどの、主に屋外にある) 壁
・etw. hängen:(方向を表す語句とともに) 掛ける、吊るす
・jdn. versetzen:転任させる、転勤させる

〜のそばへ

Sie setzt sich ans Fenster.
(彼女は窓辺へ座った。)

Mein Mann hat heute vorgeschlagen, an den See zu fahren.
(私の夫は今日湖畔へドライブすることを提案しました。)

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POINT

・vorschlagen:提案する、持ちかける
・der See:湖 (das Meer は海)

〜に対して

行為や関心の対象として「〜へ向けて」を表します。

Er schrieb einen Brief an seinen Freund.
(彼は友人に手紙を書いた。)

Ich hätte eine Bitte an Sie.
(あなたにお願いがあるのですが。)

Ich kann mich an niemanden wenden.
(私は誰にも頼ることができない。)

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POINT

・einen Brief an jdn. schreiben:〜に手紙を書く
・sich an jdn. wenden:人を頼る、助けを求める

〜まで

「接触」から転じて、空間や数量などが及ぶ範囲を示すことがあります。

Er hat an die 100 Euro verloren.
(彼は100ユーロ失った。)

Das Wasser reichte ihm bis an die Knie.
(水は彼の膝のところまで来た。)

POINT

・verlieren:(人や貴重なものを) 失う、失くす、紛失する、(試合や競争などで) 負ける
・reichen:(様態語と共に) 達する、届く、手渡す、(人・物・事に) 足りる、間に合う

熟語

an を使った熟語表現を一部ご紹介します。

an jdn./etw. denken

◆ 意味:〜のことを考える

Ihr müsst mehr an eure Gesundheit denken.
(あなたたちはもっと自分の健康のことを考えないといけないね。)

sich an jdn./etw. erinnern

◆ 意味:〜を覚えている

Ich kann mich verschwommen an meine Oma erinnern.
(私は祖母のことをかすかに覚えている。)

sich an etw. gewöhnen

◆ 意味:〜に慣れる

Ich habe mich daran gewöhnt, vor Publikum zu sprechen.
(私は人前で話すことに慣れました。)

POINT

・verschwommen:ぼんやりした、ぼやけた
・das Publikum:群衆、観衆

副詞

an が副詞として使われる場合の主な例をご紹介します。

およそ

Sie ist an die dreißig Jahre alt.
(彼女はおよそ30歳くらいだ。)

電気や灯りがついて

Das Licht ist an.
(電気が点いている。)

(時刻表などで) 〜着

Frankfurt an 17.30
(フランクフルト 17時30分着 →「発」の場合は ab

くっついて

Schnell den Mantel an.
(早くコートを着なさい。)

その他

Nick hat von Anfang an recht gehabt.
(ニックは最初から正しかった。)

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POINT

・von Anfang an:初めから

最上級

amsten」のかたちで、形容詞や副詞の最上級を表します。

Das ist mir am liebsten.
(私にはそれが一番好ましい。)

Der Wald ist im Frühling am schönsten.
(この森は春が一番美しい。)

Jenny kann von allen Mädchen in der Klasse am besten singen.
(ジェニーはクラスの女の子たちの中で最も歌が上手です。)

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分離動詞

an は、分離動詞の接頭辞「前綴り」としても使われます。

Es hört sich gut an.
(それはいいですね。)

Sie sah ihn mit voller Überraschung an.
(彼女は驚きに満ちた表情で彼を見た。)

Mein Flug wird am Freitag, den 16. um 2:30 Uhr in Frankfurt ankommen.
(私の乗る飛行機は16日の金曜日、2時30分にフランクフルトに到着します。)

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POINT

・sich anhören:〜に聞こえる (英語のsound)
・ansehen:見る
・ankommen:到着する


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